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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 ( No.76 )
- 日時: 2010/12/28 11:05
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「……と、まぁ此処までが私と葉月の知ってるところかな」
「あ、夕……本当に気にしなくて良いからね?」
真白さんは今までのその事を話し終えて、ふぅ、と溜息をついてから僕に向かってやや哀しそうに笑っていました。
優しい彩佳さんの言葉も、何故か耳からすり抜けてしまうような、そんな感覚。不思議で不思議で仕様が有りません。
でも……。
「真白さん」
「どしたの?」
「ごめんなさい」
僕のやった事は、いけない事だと思いました。
それで気付けば真白さんの右手を握っていました。とても、温かいです。
突然僕がそんな事をしたせいか、真白さんは僕を初めて見るかのようにキョトンとした目で見つめてきました。
……どうして、僕に優しくしてくれた人を、何で突き飛ばしたんだろう。
真白さん達は僕の事を心配してくれたのに何でそんな酷い事をしたんだろう。
僕の頭にはその事しか思い浮かばなくて、それでそう言う行動に移ったのかな、と思います。
「良いんだよ。別に……私もあの時色々夕に助けられたりもしたし」
「私も夕が病院に運ばれた時、蒼を止める事しか出来なかったから」
そう言って真白さんと彩佳さんはにっこりと微笑んでくれました。その笑顔を見て何故か僕は安心しました。
そして、気付けばもう午前が終わっていて、真白さん達が変える時間になりました。ちなみに午後は僕の診察があるそうです。
真白さんがふと壁にかかっていた時計を見るなり椅子から立ち上がって僕に手を振ってくれました。
「じゃ、午後の診察頑張ってね〜♪」
「また来るから……」
僕も手を振り替えし、パタンとドアが静かに閉まって、突然病室が静かになります。
だけど、昨日はそんな病室が何処か寂しい気がしたけれど今日はあまり気になりませんでした。
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