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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 ( No.93 )
- 日時: 2010/12/29 11:17
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「魅代夕が叔父叔母と暮らしていたって知ってるわよね?」
確認するような小春の問いに涼也は軽く頷く。
「一応俺も色々調べたが、叔父叔母とアイツの仲は良くなかったんだろ?」
「えぇ。それは近所内でも有名だったそうよ……それで、魅代夕が血の中で倒れていた時、叔父叔母は居なかったらしいの」
「……居なかった?」
そんな馬鹿な、と言う風に涼也は口をポカンと開けた。しかし小春はそれが事実だと言う風に否定をしない。
小春は腕を組みながらボサボサの髪をかき上げて話を続ける。
「まぁ、調べて叔父は自殺したとか言う噂が広まっているんだけど……特に叔母がね」
「叔母が忽然と消えたって事か?」
「そう。消息が全くと言って良いほど掴めないの」
小春は憂いの表情を見せ、溜息を着く。涼也はそんな小春にねぎらいの言葉をかけながらその場にあったソファーに座り込む。
患者が受付に呼ばれるまで座っている椅子だが、特に気にする事なく座った。
ビーッビーッ
「「!!」」
そして、突然にうるさいほどのナースコールが聞こえた。
二人は特にナースでは無かったが、ある部屋の番号である事で興味をひきつけられる。
“346号室” それは紛れもない、夕の病室だった。
「行くか?」
「勿論」
二人は一言で確認しあうと不思議そうに見つめるナースを放置して走っていった。
夕がナースコールを押すと言う事が、まるでとんでも無い事だと言うかのように。
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