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Re: 夜明けの銀河は支離滅裂 ( No.7 )
日時: 2010/12/16 18:12
名前: Giraf ◆yFWCdky9Fs (ID: 7KvZCID9)
参照: 名前は、デンマーク語で麒麟。

第五話 【突然の欠落】


「さて…エンジンを動かすか。」
キースはそう言うと、小さなレバーを下に引く。

トムはその光景を興奮しながら見つめる。

ただ静まる船内。

リンが乾いた音と共に連れ去られた光景が二人の脳内で再生される。
ネアにデスパレスの兵士…が来たのは随分と久しぶりだ。
暫く時間が経ち、エンジンが漸く温まりだした。
リンが船内に来た事が只々、揺曳の様に脳内で浮かぶ。
無辺際な宇宙に、この船が旅立つと思うと、とても凄いと感じるのは二人だけでは無い。
全人類がPIAⅡ開発に対して感嘆の声を漏らしていただろう。
悠悠緩緩な宇宙船の様を、宇宙港に佇む人は睨んでいた。

…今、宇宙船が無辺際な空間へ旅立つ。

「行くぞ… 掴まってろよ…トム!」
キースはそう高らかに声を出すと、レバーを前に思い切り動かした。
それと同時にグォォォォンと音が鳴る。

宇宙船は無辺際な空間…否宇宙へと旅立った。




同時刻______デスプラネット大統領室。

「ええい!! まだ終わらんのか!」
一人の老けた銀髪の男が、そう大声で近くに居るメガネのかけた男に対して怒った声で言う。

「…マッシュード大統領様 少し冷静になられては………」
メガネの男は、そう言って手を出す。

「ええい! 黙れ! デスプラネットの側近が恥ずかしく無いのか! ブレミトン!!」
マッシュードは、メガネの男———ブレミトンに怒りながら言葉を次々に言い放つ。


デスプラネットは、今窮地に立たされていた。