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「ただいま。」
僕が家に入るとなんと靴が五つもあった。
えっと、母、父、祖父、祖母はお祝いに来てて…あと一人はだれだ？
リビングの扉を恐る恐る開けてみるとソファーには一人の女の人が横たわっていた。

「母さん、どなた？」
僕がひそひそ声で聞くと、母さんもひそひそ声で答えた。
「それがね、家の玄関の前に倒れてたのよ。手の甲に紋章があるから、魔法学校の卒業生かもね。」
女の人の手の甲には、今にも消えそうな‘闇’の紋章が刻まれていた。


「うっうぅぅぅ。」

「あっ起きた。大丈夫？」
蒼色の瞳が目を開けた。

「だっ、大丈夫です。えっとここは？」

「岩森家よ。ところであなたの名前は？」
「メイ・ルフェスです。」

メイ・ルフェスって何処かで聞いた事がある様な・・・
「もしかして、魔法学校の卒業生？」
母さんが訪ねるとメイさんは大きくうなずいた。
同時にオレンジ色の髪も大きく揺れた。

「校長先生に3年前に拾ってもらったです。そう…今みたいに。」

思い出した。メイ・ルフェス。たった1年で魔法学校を卒業した…時の魔術師。

彼女の笑い顔には、何故か恐怖が感じられた。