ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 銀髪の少女は死神 ( No.16 )
日時: 2010/12/22 16:05
名前: チョコアイス (ID: 4oOK7VS7)

【2章 生きたければ遠回り】 1話


俺 逢沢 榛姫(あいざわ はるき) は今 夏の夜道を全力で走ってる。
いや 理由も無く走っているわけではない。
逃げているのだ。

得体の知れないヤツから。



  —— 数分前にさかのぼる ——


特に部活動に所属いていない俺は友達に誘われて、そいつの家に寄り道をした。
夏という事もあり、外が暗くなる頃には7時を回っていた。

俺はそいつに「また明日」と言って、急いで家に帰った。
両親が海外に出張していて現在一人暮らしの俺だが、長時間家を無人にしておくのはヤバイと思ったのだ。
だから 俺は普段ならあまり使わない近道を使おうとした。


『ビルとビルの間の細い道』


元から人通りは少なかったが、最近の物騒な事件が背中を押して今では人通りゼロとなってしまった。
よって 夜に女一人でここを通るとなると危ない人達から見れば鴨が葱を背負っている様なもの。

しかし 俺は男。
襲われる事自体が大変珍しいし、腕力ならそれなりに自信はある。

そう思い俺はその道を選んだ。


…………そして それが失敗だったのだ。



そこには先客が二人いた。
黒いジャンバーを着た男とこれまた黒のコートを着た赤髪の男。

俺は違和感を感じた。
まるで見てはいけない光景を目にしている様な。
今すぐにでも見なかった事にして忘れるべきだと思った。

だが、好奇心を抑えられなかった。
俺は身を潜めてその二人を眺めた。


二人は向かい合っていたが、不自然だった。
赤髪の男はさっきから楽しそうに話しているが、もう一人は無反応。
というより動き自体が一切無い。

立ったまま何も動かない。
足も腕も首も。
まるで良く出来たマネキンみたい。

それでも赤髪の男は楽しそうに話している。

何を言っているかは聞き取れないが、明らかに不自然。
俺はそんな二人からますます目が離せなかった。