ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ドロップワールド ( No.1 )
日時: 2010/12/18 00:53
名前: ノイズ (ID: rb3ZQ5pX)

                       プロローグ




朝起きると、家の前に女の子が1人立っていた。

黒いマントを羽織って、目は長いなっがい前髪で見えない、きらりと光るナイフを持った女の子が。

「……君…だ、誰?」
とりあえず訊いてみる。恐いけど。

「わたしは、わたしです。わたしは、貴方を殺しにきました」

妙に変な日本語を喋って、恐いことを口走る女の子。

「殺しに来た…って、何で?ねぇ、君は…!?」
ゆさゆさと女の子を揺さぶる青年。するとその子が突然ドサッと音を立てて倒れる。

「へ!?あ、え、ねぇ君ちょっと……!!」





                           †





「——————ん…?
此処…は、何処ですか…?あなたはどちら様ですか?」

———さっきは物騒なことを言ってたけど、一体何があったんだこの子に?

そう思いながらも青年は女の子に名前を言う。

「僕の名前は佐野 英太。宜しく。ところで、君は?」
「わたしですか?わたしは姫原 氷柱です。覚えてるのは、それだけです。さっきまでの記憶、ありません」
「えっと…それって僕の所為…なのかな…?」

もしかしたらさっき揺らした所為だろうか、だったとしたら、彼女に何かが仕込まれていたのだろうか。
そんなことを考えていても彼女———氷柱の為にはならないと思い、とりあえず何か話題を振ろうとする英太。しかし、氷柱が先に口を開く。

「新しい記憶を作りたいので、あなたに協力してもらいたいです。わたしの、“彼氏”さんになってください」

意外な言葉を。

「あの、氷柱ちゃん、確かに気持ちはわかるけど、まずは友達とか、そういうのなんじゃ…?」
そんな英太の言葉はまるで無視。

「では、あなたは何歳ですか?」
ではなかったようで。
「昨日でちょうど20歳だよ」
「なら、大丈夫です。わたし、15歳ですから」

———大丈夫じゃない。
———歳離れすぎだから!

「愛に歳なんて無関係です」
「いや、でも…」

困ったような顔をする英太。

「わたしはあなたの愛が欲しいです」
「わざわざプレッシャー掛けなくてもおおぉッ!!!?」

突然英太の身体が押し倒される。
『ドサッ』「ぐっ!?」

「恋人に、なってください。わたしはああなたの愛が、あなたが欲しいです。無理矢理にでも、あなたを私と一緒にさせます」

———独占欲が強いっていうか…
———なんか恐いこと言ってないこの子!?

とりあえず今の発言がどういう意味か訊いてみる英太。
「『一緒にさせる』ってどういう意味?」
「そのままです。わたしがあなたを殺して、ぐちゃぐちゃにして、全部全部全部全部、血の一滴も残らず、肉の欠片も残さず、食べます」
「ッ!!?」

15歳の少女の脳内は恐いと思い知らされる英太。でも、冗談で言っているようには聞こえない。目も本気である。その証拠に、馬乗りにされて、あと1cmでナイフが腹に突き刺さりそうだ。ほら、こうしている間にも、あと5㎜、1mm———

「あがっ!?」
こう言うのを刺されたのは初めてで。
ちょびっと刺されただけで、激しい激痛が走る。

どんどんどんどん
        どんどんどんどん













『ずぶり』
「いっ、ああぁぁぁぁっ!!?」

やめて、やばい。

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。


「どうしますか、まだ答えませんか。じゃあずっと刺しっぱなしですよ。早く早く、答えを出して下さい。わたしはあなたが好きです。好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです。愛してます愛してます愛してます愛してます愛してます愛してます愛してます愛してます愛してます。早く早く早く早く早く私を好きって言ってください」