ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: この糸が千切れるまで ( No.28 )
- 日時: 2010/12/23 10:12
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
そうして俺らはほのぼのと言う擬音が付きそうなほど平和に炒飯を食べていた。味はそこそこ、と言うか黒い物体よりはマシ(だと思う)。
そしてふと咲が俺の方をじっと見つめてたので、視線をそちらへと動かしてみた。
……何故だろうか。目が死んでいる風に見える。
「お兄ちゃん」
「何だよ」
「その写真の人……だあれ?」
「……はい?」
写真の人……てか、写真? 俺はふと自分を見てみると、上の方にある上着のポケットからある写真がはみ出していた。
俺と馬鹿みたいな程緩んだ顔でピースをしているやや猫目の、そして女顔のれっきとした男。名は雪芽。言ってしまえば妖怪である。
そして咲は俺を死んでいる風な目でじっと見つめていた。微妙に怖いのは、気のせいだろうか。
「安心しろよこいつおt「どうして? どうして私の居ない間に知らない人とこんなに楽しそうな顔で笑って写真なんか取ってるの?」
いや、だからそいつ男だって。
俺がそう言うのをご丁寧にも遮って咲は俺をぎろりと睨んだ。整っている顔が、憎悪と嫌悪で歪んでいる。
何てこったい。コイツ、とんでもない危ない奴だなオイ。
そんな事を思う暇すらなく、咲はマシンガンのように俺に対して質問を飛ばしてきやがった。
「この人は誰? どうして私に黙って写真を撮るの? 私が嫌いになっちゃったの? ねぇ、ねぇ、ねぇ、どうして? どうして?」
「いや、ちょっと待てって……だからコイツは……」
「答えてよ! お兄ちゃん!!!」
ガシャァァァァァン!!
咲が両手で、そして平手で机を叩いたので近くにあったコップが机から落ち、派手な音を立てて破片と化す。
しかし咲はそんな音など全く気にしない様子でまだ俺を睨み続ける。人の話を受け入れるほどの余裕は無い様子。
そして、突然心臓がドクドクと無駄に高鳴り、頭がぐわんぐわんと痛み出す。汗がどっと噴出してきた。
しまった……! 突然すぎてアレを忘れてたか!!
自分の愚に後悔しても、もう遅い。アレを忘れてしまった以上今の俺はとんでもない事になっている。
「ねぇ……どうしたの……? やっぱり、お兄ちゃんはずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずーーーっと此処にいるべきなんだよ?」
ふざけるな。
と、反論したかったが声が出ない。今咲に目を合わせる事すらままならない。
このまま咲に包丁を出されれば身も蓋もマジで無い。何てこったい。リアルにピンチだ。
「咲ちゃん。ごめん」
誰かがそういって、咲が突然ぶっ倒れた。