ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 『 W O L F 〜ウルフ〜 』 ( No.9 )
- 日時: 2010/12/21 20:29
- 名前: グミ (ID: U3CBWc3a)
『003』
ガチャ
「し、失礼しま〜す………」
「こんちわ!!!」
陸、宗太郎は(水摩 弓華)の部屋に入った。部屋の中央に荷物を置き、ベットの上に座っている弓華は驚いた表情で2人を見る。驚いた拍子に、ベットから立ち上がっていた。
「こ、こんにちわ!!」
弓華はショートヘアーの髪を靡かせながら、2人に一礼する。顔をあげた瞬間、陸は弓華と目が合う。
3人は挨拶を交わし、一瞬黙り込むが宗太郎が話題を持ちだした。
「僕は綾木宗太郎!!陸の兄貴の子分です!!」
宗太郎が威張りながら言うと、陸は宗太郎の頭をこつんと叩いて耳打ちする。陸にとって、今のはかなり恥ずかしいことだった。顔が真っ赤になっていく。
「馬鹿!!兄貴って呼ぶな!!子分でもない!!」
「ぷっ……はははっ…」
2人のやり取りを見て、弓華は思わず噴き出して笑った。2人もつられて笑う。
「俺は大狼陸。よろしく。」
「私は水摩弓華。よろしく、宗太郎君、陸君。」
3人は握手を交わす。陸は弓華と握手をした瞬間、心臓が破裂しそうなくらい緊張していた。
そう、陸は完全に弓華に一目惚れしていたのだ。
「とりあえず、施設案内してほしいなぁ。」
「いいっすよ!!兄貴、案内しましょうよ!!!」
陸は宗太郎を小突こうとしたが、笑って許して頷いた。
陸と宗太郎は、弓華に施設を案内するため部屋を出たのだった。
───────
「ふ〜ん。ここが光川孤児院かぁ〜!!!」
大通りに架かる歩道橋から孤児院を見渡す1人の青年がいた。
ウエーブヘアーに漆黒の瞳で孤児院を見ると、首の骨をポキポキと鳴らした。不気味に微笑む。
「カルカロ。気を抜くなよ、ここにいるのは実験体Wだ。」
カルカロの後ろから、巨体の無償髭を生やした男が現れた。身長は軽く180は越している。目つきは悪く、顎は出ており、まるで世界クラスのラグビープレイヤーの様だ。
「分かってる。でもよ、俺は獣脚類だ。そりゃあ竜王さんには勝てないけどよ、実験体Wには勝てる。」
「へぇ〜♪結構、自信あるんだ。負けちまえばいいのに♪」
カルカロと巨体の男の後ろから、赤い眼鏡をかけたオタク系の女の子が現れる。フリフリのスカートに派手な水色と白のメイド服。はっきり言って、ぶりっ子の様な女の子だ。
「黙れ、ステラー。気持ち悪い格好しやがって……」
「何?戦う?どうせあんたが負けるのよ。」
「んだと!!!獣脚類にたかが海牛が勝てると思うな!!!」
「海牛いうな!!!」
2人は睨みあい、今にも戦いだしそうな雰囲気を出す。だが、その間に巨体の男が割り込んできた。
「喧嘩はするな。任務に集中しろ、カルカロ、ステラー。」
巨体の男の言葉を聞くと、2人は舌打ちをして目を背けた。2人の姿を見て、巨体の男はため息をついた。
「まぁいい。任務が終わった後、お前を殺す。」
「できるものならね♪」
2人はお互い顔を見て笑うと、光川孤児院に視線を移した。すると、巨体の男は2人の背中に手をつける。
「着地地点、施設中央広場。飛距離、約69.22。」
巨体の男が何かを言い始めると、カルカロとステラーは前屈みに体勢を変える。
「飛ぶぞ!!必殺ナックル・ランチャー!!!!」
巨体の男は叫んだと同時に、2人を一気に投げ飛ばした。それは、明らかに人間を越えた力だった。
2人は施設上空まで吹っ飛び、カルカロとステラーは体勢を整えて施設を見下ろす。
「襲撃作戦、開始ぃ〜♪」
ステラーが不気味に言う。カルカロも不気味な笑みを浮かべ、2人はそのまま施設に向かって落下した。