ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 『神旅。』  ( No.1 )
日時: 2010/12/25 17:29
名前: 空駆ける天馬 (ID: U3CBWc3a)
参照: http://名前長いね……天馬でお願いします

亜人アジン


  2012年  4月30日  午後


青い空、白い雲、オレンジ色の太陽。全てが当然あるべきものだと、人々は思い込んでいる。
我ら人類の住む世界の天井は空、そして、床は陸である。
当然、我ら人類の肉体には



━1個の魂━



しか宿っていない。現実的に言えばの話だが。
だが、それは当然ではない。当然だが、本当に当然であろうか?
2012年になり、『マヤの予言で世界が滅びる』と噂されることが多くなったが、1つ、興味深い噂が湧き出てきた。
それは、



━亜人の存在━



という噂だ。『亜人』とは、神々の魂と人類の魂を一体化させた人類のことである。簡単にいえば、人類の上の人類。
なぜ、そんな噂が湧き出てきたかというと、それは1年前にさかのぼる。
1年前の2011年の冬、24日のクリスマスデーに全ては起こった。

 
世界を震撼させた歴史を塗り替える大事件_______




    『死のクリスマス 国会議事堂襲撃事件』





   **********



「SATは奴らを逃がすなぁぁぁ!!!!警察は総理の保護を早くしろ!!!!!」


燃え上がる国会議事堂。あちこちから聞こえる爆音と銃声音。辺りからは女性や子供の泣き声が、絶え間なく聞こえてくる。
金髪に似合わないスーツを着た男性は、銃を構えたSATに叫びながら命令すると、警察隊にも同じように命令する。
警察隊は燃え上がる国会議事堂に向かって、拳銃を構えて進んで行く。



「ぎゃっはっはっはっは!!!!!」



突如、進んでいた警察官10名が後方に吹き飛んでいく。残った警察官5名の前には、体を黒い煙に包みこんだ不気味な男が立っていた。
男は大笑いしながら、両手を黒い煙に変えて警察官を飲み込んだ。


「うわぁぁぁぁあ!!!」


「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」


「た、助けてぇぇぇ!!!!!」


煙はあっという間に警察官を飲み込むと、そのまま男の両手に戻っていった。男は再び不気味に笑う。
「日本帝国終焉だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
男は大声で叫ぶと、そのまま体を煙に変えて、真っ赤に染まった空に向かって飛び消えた。
未だに、銃声音は鳴り止まず、国会議事堂は時間が経つにつれて炎に飲み込まれていく。
「くそっ………全員後ろに下がれ!!!」
金髪の男性はSAT、警察隊に叫ぶと国会議事堂の敷地内から出ていく。その後ろの光景は、最早、現実離れしていた。

国会議事堂の上空に、黒く渦巻くブラックホールの様なものが現れた。

この瞬間、誰もが目を疑った。自分たちの目の前で起きている事態が、明らかにならないはずの状態だからだ。
ブラックホールは特に何も起こらず、数分して跡形もなく消えた。
この事件を目の当たりにしていた人々は、クリスマスということを忘れていた。雪も降らないクリスマスに起こった奇怪な事件。
そして、驚いたのはこの後である。



現場近くにいた何百の人々が、奇妙な目撃証言を残したのだ。



「体が煙に変わって、空へ飛んで行った。」

「手から炎を出して、まるで悪魔の様な姿をしていた。」


はたまた現場にいた警察、SATの証言では


「撃っても撃っても、銃弾が体をすり抜けて攻撃できなかった。」



これは、犯人を目撃した人々の証言。
1年が経つが、犯人の顔、犯人の人数、ましてや性別さえ確認されていない。そう、完全犯罪といえる事件だ。
そして1年の時が経て、また起ころうとしていた。







歴史に残る出来事は、今から始まるのだった______