ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 『神旅。』 ( No.7 )
- 日時: 2010/12/25 14:28
- 名前: 空駆ける天馬 (ID: U3CBWc3a)
- 参照: http://コメントプリーズ!!!
【第3話 神と神の戦い】
杉並区から世田谷区へ向かう電車内
走りだした無人電車には、十郎とコヨル、謎の赤髪男性の3人が乗っていた。十郎とコヨルは顔を合わす。
「敵って……どうして?」
『長年の勘じゃ。それより、来るぞ!!!』
十郎はコヨルの言葉で、先頭車両の運転席にいる赤髪の男性を見る。男性は背中を向けて前を見ている。
来る気配はないが、十郎は嫌な予感がしていた。そして、予感は見事に的中したのだった。
ガシャーーーーーーン!!!!!!
運転席のドアが吹っ飛び、赤髪の男性は2人の方を振り向いた。十郎と男性が目が合う。
顔はイケメンでスタイルも良い。だが、目の色が真っ赤に染まっており、何か不気味な雰囲気を漂わせている。
「ひゃっはぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!!!」
男性は雄叫びをあげながら、2人めがけて走ってきた。コヨルは十郎の前へ行き、戦闘体勢に入る。
「お、おい!!相手は人間だぞ!!!」
『心配するな。相手は亜人じゃ。』
ダン!!
男性は狭い車両の中を飛び上がると、そのままコヨルめがけて回し蹴りを喰らわした。
だが、コヨルは軽快な身のこなしで回し蹴りを止め、男性の足を持って投げ飛ばす。
しかし、男性は笑いながら着地すると、2人を見て両手を合わせる。そして、何かを呟き始めた。
「我が身に宿りし融合神“ヘルバウント”。コーラーせよ。」
男性が呟いた瞬間、男性の体を黒い煙が包み込む。そして、男性の表情が一変した。
真っ赤だった目は白目の部分も黒くなり、皮膚も黒く染まった。髪の色だけがそのまま赤色である。
『コヨルシャウキ………ボスの命令で、貴様を捕獲する。』
男性の言葉に、コヨルは鼻で笑うと十郎の方を向いた。十郎は意味が分からず、とりあえず首を傾げる。
『残念じゃが、わしは貴様の言うことに反抗するぞ。貴様はわしに勝てんしな!!』
『ふざけるな!!!』
コヨルの言葉に男性は叫ぶと、口を大きく開けた。すると、男性は2人を見て不気味に微笑む。
『防げるかな?』
男性の言葉を聞いた瞬間、コヨルは十郎を掴み後ろの車両へと走り出す。
十郎は全く意味が分からず、走りながらコヨルの質問した。
「何で逃げるの!?」
『こんな場所で広範囲の攻撃は無敵じゃ!!電車から飛び降りるぞ!!』
「はっ!?」
十郎はコヨルの言葉に驚く。しかし、コヨルは迷わず足を止め、走行中の電車のドアをこじ開けた。
物凄い風が2人を襲うが、コヨルと十郎は吊皮を掴んで耐える。
『くたばれ!!』
遠くで男性の叫び声が聞こえたと思うと、2人になぜか熱気が伝わってきた。十郎は不思議に思い、向こうを見る。
すると、先程の男性は紅蓮の火炎放射を口から出し、炎の波と化した火炎放射が2人に向かってくる。
『急がんか!!飛び降りるぞ!!!』
「む、無理だろ!!!即死だよ!!!」
『川に飛び込めば大丈夫じゃ!!!!』
コヨルは十郎の手首を掴み、躊躇なく電車から飛び降りた。飛び降りた時、電車は川の上の橋を走行中だった。
十郎は叫び声を上げ、コヨルは十郎を抱きかかえながら川に飛び込んだ。
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『ちっ』
男性は電車から川に飛び込んだ2人を見ると、悔しそうな表情で舌打ちをした。
『まぁいい。コヨルシャウキ、貴様は逃げることはできないぞ。クソ餓鬼もな。』
男性はそう言うと、ドアを殴り壊した。
そして、コヨル達と同じように躊躇なく走行中の電車から飛び降りた。