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Re: 『神旅。』 10話UP ( No.37 )
日時: 2011/01/05 18:19
名前: 空駆ける天馬 (ID: 3CTEqyYl)

【第10話 0%】


『貴様……戻ってくるとはな…………』

体育館屋根上にいたジャスパーの目の前に、再び柚羽が現れた。柚羽は周りを見渡し、ユファとシィを探す。
ユファの姿は見えないが、シィがジャスパーの後ろに現れた。


『シィ!!こいつを倒すよ!!!』


『私に任せて♪』


シィは両手の平に竜巻を創ると、ジャスパーに向かって走り始めた。
柚羽はポケットからサバイバルナイフを取り出すと、構えてジャスパーに向かって走り出す。
シィはジャンプをして頭上に飛び、柚羽は腹に向かってナイフを向けた。その瞬間だった。
『弱すぎる。喰らえ、龍風。』
ジャスパーは羽を羽ばたかせ、気圧で2人を吹き飛ばした。シィは空中で体勢を戻し着地した。
しかし、柚羽は屋根に叩きつけられそのまま気絶してしまった。
『柚羽!!!』
シィが柚羽に駆け寄ろうとした。しかし、目の前にジャスパーが現れる。
『貴様など、手一本で十分だ。』
ジャスパーはシィの腹を殴り、頭を掴むと容赦なく屋根に叩きつけた。


ズゥゥゥゥゥゥゥン!!!!


煙と轟音をあげて屋根は崩れ、気絶したシィは砂煙の中に姿を消した。屋根に亀裂が入っていき、一気に屋根は崩壊していく。倒れている柚羽も体育館内に落ちかけていた。

『十郎!!あの女を助けるのじゃ!!!』

「え!?ちょ、俺が!?」

コヨルに抱えられた十郎は、無理やり崩壊寸前の屋根の上に下ろされた。コヨルはジャスパーの元へ飛んでいく。
十郎は慌てて柚羽に近づき、腕を首にまわした。十郎はその瞬間に柚羽の正体に気付いた。
「せ、生徒会長!?どうして…………」
十郎は気絶している柚羽を見ながら呆然としていたが、崩れていく屋根の音を聞いて我に返った。
「どうやって逃げれば………」


『君!!私に掴まって!!!』


十郎が周りを見渡していると、目の前から気絶していた筈のテミスが頭を抑えながら飛んでやってきた。
「神……?生徒会長の神魂者?」
『違う!!それより、早く掴まって!!!』
テミスは十郎と柚羽を抱え、そのまま持ち上げて体育館から離れた。


   *******


諒陣高校 上空


ジャスパーは崩れゆく体育館を見ながら微笑を浮かべていた。
無音で羽をバタつかせ飛んでいると、下からマントを靡かせながらアニーが飛んでやってきた。
『倒したの?』
『まだだ。だが、法堂はやられたようだな。』
ジャスパーは舌打ちをする。アニーは大きなため息をつくと、地上に戻ろうとした。しかし、ジャスパーが止める。
『行くな。もう融合神が抜けて人間に戻ったんだから。』
ジャスパーがそう言うと、アニーは悲しそうな顔をして地上を見つめる。


『ここじゃな!!!』


2人の目の前に飛んでやってきたコヨルは、鬼の形相でジャスパーを睨みつける。
『なんだ…また負けに来たのか?』
『わしは負けとらん!!よくも学校を!!!』
コヨルは両手を拳に変え、そのままジャスパーとアニーに突っ込む。

『お前は神だぞ!!!人間に同情するのか!!!』

ジャスパーも両手を拳に変え、コヨルに突っ込む。


『貴様など一発じゃ!!!』


『黙れ!!犯罪者が!!!』


2人は同時に拳を放ち、それぞれ頬に強烈なパンチが炸裂した。
しかし、ジャスパーにはあまり効かず、コヨルだけが後ろに吹き飛ばされた。
吹き飛ばれてもすぐに立ち上がり、ジャスパーを睨みつける。口が切れて顎を伝い血が流れている。


『お前は俺に絶対勝てない。0%という存在に勝てる者はいない。』