ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: android heroes!!  ( No.2 )
日時: 2010/12/24 21:50
名前: なる ◆7lihNriEqk (ID: nxPXMTJg)

「凛…何やってんの?」
恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
「てめ…っ……ご主人様を呼び捨てるなんていい度胸してんじゃねぇか…」
苦し紛れにそうごまかし、メルトに向かい合って立ちすくんでいるそいつの姿を捉える。
涙か汗かは知らないが、視界がぼんやりと霞んで見えにくい。
だが、徐々にはっきりとしてくる見慣れた姿に、俺は危うく発狂するところだった。
「久しぶりね、凛チャン♪」
「紅葉姉さ……ぐほっ」
発狂寸前のところでヘッドロックを掛けられる。
か細い見てくれからは想像も出来ない程の力だ。簡単に言えば死にそう。
「だぁれが姉さんだってぇ?もしかしたらあたしはあんたより年下かも知れないのよぅ?」
まずそれは無いだろう、などと抜かそうものなら、脇腹に一発喰らわされて昇天しかねない。
紅葉姉さんと出会ってから、大分俺の思考スキルがアップしたと思う。
地雷を見分けるのも上手くなったし、着実に進歩しているのは自分でも分かる程だ。
とまぁそんな事は置いておくとして、ヘッドロックから解放された俺は、事もあろうに自分の家の玄関先で悶え苦しんでいた。
「く、はっ…紅葉さんは手加減ってものを知らないんですかっ…」
平然と俺を見下していた紅葉さんの顔が、見る見るうちに妖しげな笑みに変わるのを俺は今年一体何回くらい見てきたのだろうか。
本気で殺されると思ったこともしばしばあるが、それは口にしてはいけないワード2010に選ばれそうなので、あえて言わないことにする。
「ご主人様っ、メルトっ…何が……あ」
慌てた様子で走ってきたアルトは、ドヤ顔で仁王立ちする紅葉さんを見るなり全身の機能をフリーズさせた。
紅葉さんも紅葉さんで、フリーズするアルトを忌々しげに眺めている。
この二人の因果関係については、後ほど説明する羽目になると思われるので省略。
やっとの事でアルトがフリーズから立ち直ると、それと同時刻に紅葉さんが紅く色づいた唇を開いた。
「ところで今日は…凛、貴方に用があって来たのよ。」
「俺に…ですか?」
そうだろうとは思った。
最近メンテナンス費用を溜め込んでいる紅葉さんのことだし、きっと費用の支払いを先送りさせてくれ的な話を持ち込みに来たのだと、そう想定していたのだ。
しかしヤマは見事に外れた。紅葉さんが持ちこんできた話は、想像を絶するものだったからだ。