ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 題名とオリキャラ募集 ( No.6 )
日時: 2010/12/25 20:28
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: 73kQpkiy)
参照: http://imepita.jp/20101225/465540

----目覚めなさい。

そう、優しげな女の声で言われた気がして、僕は目を覚ました。
ぼんやりとする視界。
ああ、そうかメガネをかけていないからだ。
僕はそう思い普段なら寝る時にいつも置くようにしているから僕の隣においてあるはずのメガネをとるためにうつ伏せのまま手を前に伸ばした。
が、手を延ばした先にあったのはベットの上の棚の感覚でもメガネの感覚でもなく、ひやりとした水の感覚だった。
僕は驚いて目を開け、前を見る。
そこにあったのは美しいという表現すら陳腐に思えるほど綺麗な、金色の光を放つ泉だった。
数々の芸術品という芸術品や美しい物は腐るほど見てきたものの、これほど美しい物は見たことがない。
暫く見とれていたものの、僕は我にかえってあたりを見回した。
ぼやけてあまりみえないものの、僕の部屋ではないらしい。
僕の部屋は寒色系で統一されているはずだけど、此処は暖色系のものが多いからだ。
誘拐、というわけではなさそうだ。
もし僕を誘拐したならば、手足に拘束がついているはずだ、だけど拘束はされていない。
僕は体を起こすと自分の手足を確認した。
よし、異常なし……あれ?
と、ここである異変に気がつく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんで僕はパジャマじゃなく制服なんだ?

驚いて自分の周りを探る、と、そこには確かに、学校の女子にもらったストラップがジャラジャラついた僕の通学用かばんがあった。
興奮状態でかばんを探る、と、スペアのメガネがあった。
乱暴にそれを引っ張り出すと、荒々しくケースを開けてメガネを取り出し、掛ける。
視界が鮮明になり、周りにあった暖色系のものの正体がわかる。
若草色の草木、真っ赤な木の実。
そして、僕の目の前の泉の上に立つ女性。
何故だ? 人の気配はなかったはずだ。
僕は驚いて目の前の女性を凝視する。
女性はにこ、と微笑むと、しゃがんで僕と同じ目線にした。
そして、女性が口を開く。

「——は……——あ……——?——」

脳の中に女性の声は引っかからず、そう、まるですり抜けていくかのように聞こえなかった。
が、次の瞬間。
僕の頭に直接女性の声が響いてくる。
耐え難い痛みと共に来るその声は、その痛みすらちっぽけなものに感じさせる程美しい声だった。
何を言っているのか、それの理解すらできなくなる。
が、その声がぴたりとやんでまた激痛が頭を襲い始めた。
痛みはさらに酷くなる。
そして、もう駄目だと思った瞬間。女性の声がまた聞こえだした。

『私はミラージュ。あなたはだあれ?』

激痛とその声の誘惑が相殺して普通に聞こえる。
僕はその問いかけの意味を理解すると、いらないことまでべらべらしゃべりだした。