ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 終端の騎士と異世界の王 ( No.72 )
- 日時: 2011/02/28 07:38
- 名前: るりぃ ◆.VGogta6H. (ID: opLc/10u)
- 参照: きっと嫌われてんだ我がヒーロー きっと望まれてんだほらヒーロー
「よし、じゃあ説明しよう!」
なんでやねん。
似非関西弁でツッコミそうになった。
いや、説明してくれるのはありがたいのだが今の流れで行くか? 普通。
あ、コイツ等普通じゃなかったんだっけ。
なんてどうでもいいことを頭の隅に押しやり、アイツ等の話に耳を傾ける。
「まぁ、つまりだな。お前が生きていることによって、時系列や世界やらが歪んでしまうんだ。お前が文学の天才なのはその所為だな。うんん。」
魔理丘がそこまで言って、うんうんと頷く。
次は横からルイーズが現れて、僕の目の前に立つ。
「それに、あなたの心情で回りの物が壊れたり歪んだりしてしまうこともあるのです。だから、あの時ビル等を破壊し、再構築しました。私達は、それを説明しないでやってしまったので、理解できずに錯乱したあなたに一旦寝て頭を冷やしてもらおうと首麻酔で気絶させたわけです。」
暴れまわった理由はそれか。
何処かの漫画でやってた理解→破壊→再構築みたいだ。
「その時にあの世界にいったのはミラージュが呼び寄せたせい。本人はその場にいなかったけど、媒体の紅蜂ならいたなぁ。」
つまり、俺は悪くないぞと。
蜂……あの時の深紅の蜂か。あれは本気で死ぬかと思った。
「面倒くさいから本題に入る。アンタに、アンタの影響を一番受けやすいこの世界から消えてくれっていってんの。アンタはこの世界じゃない別の世界で生きられる。」
ユレスが横から口を出す。ルイーズは「しかもその世界は自分で選べますよ。」と笑顔で話しかける。
「まぁ、そう言うことなら……」
僕は人間が嫌いだったし、どうせなら神とか妖怪とか獣になってみたいと思った事は多々ある。
平凡に暮らすのも悪くはないが、はっきり言って詰まらない
もっと心踊るような出来事はないかと毎日の様に思いを巡らせていた。
だから、ちょうどいいだろう。
「じゃあ、決定だな。」
魔理丘が安心したように、笑顔で言う。
そして————
「……——っ……あ?」
脇腹辺りに、鋭い痛みが走った。
意味が分からず痛む箇所に視線を向ければ、そこには怪しく光る鋭いナイフが、僕の脇腹に深く食い込む様に刺さっているのを捉えた。
え……?
訳が分からない。
何が、どうなっているのか。
僕の思考とは裏腹に、体はガクガクと震え出し痛みも徐々に鮮明になってきた。
余りの激痛に声も出せずにその場に崩れた僕は、急激にせり上がってくる嘔吐感に堪えきれずにその場に真っ赤な液体を吐き出した。
「がはっ! かは……あっ、ぐっ!!」
あぁ、これは血かな。
口の中が鉄の味で一杯だ
朦朧としてくる意識の中。
僕の様子を伺う様にしゃがみ込んだ魔理丘の笑顔が見えた。
「この世界から消える、イコールこの世界での死だから。死んだらお前の魂を持って世界の選択場所に連れて行ってやるよ!」
っざけんなこのクソったれ……! そんな事聞いて無い……!
僕はその男を突飛ばし。
力の入らぬ足を叱咤しながら歩き出した。
僕自身は両親と三人で、先生に褒められてクラスの人気者でって平穏に12年を送ってきたつもりだ。
それなのに……
ナンデボクハ、シニソウニナッテイルノダロウ?
分からない分からない。
哀しい訳じゃない。
死ぬのは勿論怖いけど。
それよりも怒りの方が勝っていた。
アイツ等異世界人の身勝手さに、醜さに、貪欲さに、傲慢さに。
言い知れぬ憎悪が僕の胸中で蠢いている。
道行く人は僕の姿を見た瞬間に逃げ出した。
救急車も呼ばずに。
人間とは、何て自分勝手で思いやりのない醜い生き物だろうか。
人間など、異世界人など……皆死に絶えれば良い。