ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 終端の騎士と異世界の王〜第二話突入〜 ( No.82 )
- 日時: 2011/04/15 06:34
- 名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: CbXJUujt)
「来ちゃった☆」
てへっとその後に付け加えると頭を己の拳でコツンと叩いて舌を出す男。
春はそれを絶対零度の視線で見やると扉を閉めにかかった。
「何でありますか、イライラするのでやめてほしいのであります。ライム。そして二度と来ないでほしいのであります。」
「酷っ」
そう軽い調子でいいつつライムは春が閉めようとする扉に右足を突っ込んで閉まらないようにしている。
春はあきらめたようにため息をつくと、扉を開いた。
そんなやり取りを行った後、ライムは春に顔を近づけて囁いた。
「<嫌われ者>の事なんだが、どうやら別世界にいったらしいよ。」
「……は!?」
春はライムの言葉にコレでもかというくらいに目を見開いて口をあけて固まった。
そして、暫くの沈黙の後。
「ついに頭沸いたのでありますな。可哀想に。」
「いい加減にしないとおこるよー?」
笑顔のライム。
だが彼の額には青筋が浮かんでいた。
春は喉元まででかかった『いきなりあんな事を言われれば誰だってそう思うだろう』という言葉を飲み込んだ。
これ以上いったら彼が本気で怒りかねないからだ。
「とりあえず、話だけなら聞くので、入るであります。」
ありがとー、とへらへら笑いながら家の中に入るライム。
そんなライムを出来るだけ視界にいれないようにしてリビングに案内する春。
そこへとてとてと足音を立てながら二つ結びの少女がやってきて、春に抱きついた。否、衝突した。
そして顔を上げる、と、自分よりはるかに大きいライムを目撃したのか、逃げ出した。
高速で靴を履くと春の方を一度も見ずに早口で噛みながら遊びに行くという事を伝えて逃げ出した。
春はライムの方をじと目で見やる。
ライムは相変わらず笑顔を浮かべていた。
「————さて、妹ちゃんもいなくなった事だし、話そうか。」
リビングの椅子に座ってにやりと笑みを浮かべるライム。
春はライムにため息をつく。
ライムはそれを無視して喋り始めた。