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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 終端の騎士と異世界の王〜第二話突入〜 ( No.83 )
- 日時: 2011/05/08 15:21
- 名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: CbXJUujt)
- 参照: るりぃ改め華京!心 機 一 転 !
「彼、都 陸君ってさ、何で嫌われてるか知ってる?」
ライムが笑みながら言った言葉に、春は無言で首を横に振った。
春のその動作を見て、ライムは喉奥で笑うと、言葉を紡ぐ。
「彼は容姿から学力、運動能力に至るまで、とにかく全てが普通の少年だ。でも、彼はそんな己を認めたくなくて、妄想の世界に逃げ込んで他人を貶したのさ。」
春は目を見開いた。
穏やかに会釈をする少年が、そんな人間だったとは信じられないからだ。
ライムは言葉を続ける。
「妄想の世界は、陸君とよく似た名前の主人公が出る話の『天才少年-この世の覇者-』の事。彼は死んだ時点で神にあの世界に行きたいと願った。物語に主人公は二人も要らない。神の加護のある陸君は簡単に主人公を主人公の座から蹴落とすだろう。
居場所のなくなった主人公であった彼は、代わりにこの世界にやってくる。」
春は呆然としてその言葉を聞いていた。
普通なら信じられずに「病院いけというかむしろ病院が来い」というだろう。
いやそこまでは酷くないか。
とにかく、信じることは無い。
春もその例に漏れず、ゆっくりと頭を振りながらポケットに入っていた携帯電話を取り出し1のボタンをプッシュする。
ライムは春の手をとめて携帯を取り上げた。
「証拠、みせてあげようか?」
携帯を取り上げられ不満そうな春に向かって、ライムは苦笑とともにその言葉を吐き出す。
春は怪訝そうな瞳を向けた。
ライムは春のその視線を避けるようにして、手を合わせた。
「さて、久々にやりますか!」
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