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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 孤独の白鳥姫 ( No.1 )
- 日時: 2010/12/24 17:45
- 名前: キャサリン (ID: cQ6yvbR6)
プロローグ
冷たい冬の風が、私の頬をなでるようになると、いつも体中が凍り付くような恐怖を覚える。
それは、14歳のあの日、見知らぬ男たちに殴られ、蹴られ、あげくのはて袋につめこまれた、あの地獄を思い出すからだ。
私を恐怖に陥れ、芯まで凍り付くような場所に横たわったまま、私はひたすら神に祈った。神は、きっと汚れていないはずの私を救ってくれると思ったからだ。だが、神は一時も私に微笑みを向けてくれることはなかった。
いたわるように、その慈悲の手をさしのべてくれることはなかった。私はすでに自分自身しか信じることができなくなっており、生き延びるためにはすべてを捨てて逃げるしかないと確信した。
温かい食べ物も、ワインも、金色の香料も、薔薇色の紅も、銀色のすけるドレスも、うつろな心の私にはなにひとつ魅力的には見えなかった。
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