ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Devil Moon〜悪魔と契約した男〜 ( No.10 )
- 日時: 2010/12/30 12:09
- 名前: 露草 (ID: loE3TkwF)
「なぁ……浩太。俺すんげ〜〜腹減ってんだけど…」
さっきの出来事が脳裏に過り、渋々と問いかける。
「ちゃんと起きないからだろ? そう言うの“自業自得”って言うんじゃないの?」
「いや…そうなんだけど………そうだ、良い事考えた!!」
何か考え付いたのか、望夢はいきなり浩太の自転車の後ろに乗った。
「ちょ…二人乗り禁止!! 早く下りてくれる?」
望夢が急に乗ったせいで自転車のバランスが崩れる。
「うるせー、いいか浩太!! あの商店街を全速力で駆け抜けてくれ!!そこを抜ければ、学校までの最短距離なんだ!!」
どうだ!!と必死にバランスをとる浩太に後ろから思わず、どや顔をしてしまう。
しかし、そんな望夢にきつい言葉を浩太は放った。
「そんなに自信もって言うなら、とっとと先に行けばいいじゃないか。僕まで巻き添えにしないでくれる?全く、そんな事で無駄な努力するんだったら、学業に力を入れたらいいんじゃないかな?君もそろそろ将来の事考えた方がいいと思う。最近、不景気だから」
またこいつは……。
次から次へと……。
あいつの言葉はいっつも俺を瀕死状態にさせやがる!!
「でも…まぁ……面白そうだから別にいいけど」
さっきまでの冷静さとは違って、望夢が提案した内容に珍しく乗ったのだ。
「そうだろ、そうだろ!! よし行こう、すぐ行こう!!」
話に乗れば、こっちのもんだ!!と思うばかりに向かった場所は、望夢達がガキの頃から知っている、商店街だった。
魚屋のおっちゃんから八百屋のばあちゃん、コロッケ屋の若いねーちゃんまで、ここで商売をしている人達とは二人とも面識があった。
「行っとくけど、ホントに飛ばすから!! こんなとこで時間を食うのはごめんだからね。それじゃー行くよ!!」
そう言って地面につけてた足をペダルに掛け、思いっきり自転車を漕ぎ始めた。
幸いにもまだ朝だけあって人通りも少なかったせいか、一直線に商店街を通り過ぎた。
「ぶははっ!!!! 見たか、浩太!! 魚屋のおっちゃん、何事も無かったかのように仕事してたぞ!!」
後ろで食糧を手で抱え込みながら、爆笑する望夢に向かって浩太はまたしても毒舌を放った。
「ねぇ、行っとくけどそれ世間でよく言う“万引き”だよ? パトロールでここら辺を循環してる警察の人達に見つかったら、即刻刑務所入りだよ」
「あ〜〜そんなに欲しけりゃくれてやる!! コーヒー牛乳でいいか?」
とりあえず、論点から外れようと浩太の好物のコーヒー牛乳をあげた。
彼は、その後何も言わず学校に向かった。
二人は商店街の名物悪戯コンビと言われるほど、そこで商売をしている人達にとって顔が知られているのだ。
そんな二人にそこの人達はいい加減嫌気がさしたのか、最近では何かしらの騒動が無い限り、商店街は平凡なのである……。