PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 妖殺-アヤカシコロシ- ( No.3 )
- 日時: 2010/12/27 09:23
- 名前: 血液嗜好症 ◆h2SnHB8xxs (ID: OeXJRIuY)
第壱話「妖-アヤカシ-」
「あー、もう!!」
全力で走っても走ってもついてくる。まるで賽の河原までついてくるのではないだろうか?
と言う勢いで着いてくる。いや、憑いてくる。
「何であたしだけ!? てか、皆見えてないのー!!?」
恐らく、見えてない人から見ればあたしは変な独り言を大声で叫びまくる変人に見えているのだろう。
ちょ、重っ……。変なドロドロの物体があたしの背中に圧し掛かる。
他の人から見えない重みと葛藤しながら、あたしは転ぶ。
顔面を勢いよくぶつけ、痛いなーと淡泊過ぎる事を想いながら、起き上がろうとする。
ん……? 起き上がれない。コイツらが重すぎて起き上がれない。
あたし、意味なく道路に寝てるアレな人に見えてるよね。皆、イカレた人だって思わないで。
「ほう……。貴様、若いくせに中々よい血を持っておる」
あたしが起き上がれない原因はこの人でした。何、人の上に跨っちゃって。貴方もイカレた人だね。
「貴様、名は?」
あたしより何10㎝も背が高いおねーさんに見下ろされる。紅い瞳は迫力がありすぎる。
美しすぎて恐ろしい、甘い毒のような魅力があった。
「あ、宇賀神 茜です」
やっと声を出せた。宇賀神なんてどんな立派な名字だよ。金持ちみたいな名字だけど、家は全然フツー。
「ほう、宇賀神か……」
あたしが嫌いな“宇賀神”を少し嬉しそうな声で呟く。宇賀神って、そんなパワーのある苗字ですか。
「ああ、宇賀神はな。神の名だ」
と、どこからか煙管を取り出す。それより、何で考えてる事わかるの。怖いよ、おねーさん。
「さぁ来い。貴様を救えるのは妾たちだけだ」
PR