ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 葬送楽団   ( No.15 )
日時: 2011/01/30 19:38
名前: まる (ID: gTez.RDd)

  長い廊下は依然として冷たく暗く渦を巻いて少女を誘う。
  揺らがない視界は、黒に染まり一向に色を変える兆しは無かった。歩くたびに、様々な音が耳に入る。視界が遮られた分、音を感知す能力が高くなっているのだろうか。些細な音が酷く大きなものに感じられる。
  ——張り詰めた空気が酷く息苦しい。息をするたびに冷たい空気が肺を軋めた。
  彼女は、小さく息をついた。
  部屋に戻ったら、すぐにベッドに入れば良い。いつもよりは少し早いが、今日は寝てしまおう。
  
  彼女は足早に歩を進め——、その途中で足を止めた。
  ゆらり、背後で空気が揺れた。
  彼女の肩が微かに震える。激しく暴れる胸を押さえながら、ざわりと背中が泡立つのを感じていた。
  嘲笑うかのような風の音が、異様に耳に衝く。
 「だ、誰……」
  震えるからだを支えながら、少女はゆっくりと後ろを振り返る。