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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 葬送楽団 ( No.18 )
- 日時: 2011/02/12 14:11
- 名前: まる (ID: OOsVuLRl)
—後ろを振り返れば、そこには一人の男がいた。
怯えた少女の瞳には、背の高い一人の男が映っていた。男は、驚いたように目を丸くしていた。
「あっ……」
口をぽかんと開けたまま、男はぽつりと声を漏らした。
少女は警戒しながら、震える体をゆっくりと後退させた。
そんな少女に困惑しながらも男は、思わず少女に向かい手を伸ばす。冷たい男の手が少女の肩に触れたとたん、小さく少女は悲鳴を上げ、硬い壁に肩を打ちつけた。
「ご、ごめん!何もしないから……」
小刻みに震える少女の肩を見つめて、男はオロオロとしている。そんな男に息を詰めながらも、少女は瞳を床から外しゆるゆると男を見つめた。
「肩、だいじょうぶ……?ごめん」
心配そうに、瞳を細めながら手を少女に伸ばした。しかしそのとたん、あっ、と小さな声を上げながら急いで腕を引っ込める。
「……また怖がらせるかも」
ブツブツと独りで喋りながら、困ったように男は頭を掻く。
「僕、そんなこわいかな」
戸惑いながらも、男はおずおずと笑みを浮かべながら、控えめながらも明るい声を掛けてきた。
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