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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 葬送楽団 ( No.24 )
- 日時: 2011/02/22 20:34
- 名前: まる (ID: r23iY2yR)
第四夜 奇妙な楽団
開け放たれた窓から、月光が降り注ぐ。
古ぼけた部屋には、限られた家具しか無く生活感に欠けていて酷くもの悲しくあるのに、凛と張りつめて息苦しい。
月明かりにぼんやりと照らされた部屋には、数人の男たちの姿があった。静寂がその場を支配し、誰一人として口を開く者はいない。男たちを重い空気が取り囲む。
しばらくすると、ついにその空気に耐えかねたのか一人の少年が口を開いた。
「…… フチはまだ?」
奇抜な格好をした少年は怪訝そうに顔を歪める。
「ったく。遅えなあ…… 」
黒髪の少年が、同調するかのように悪態をつき、一人の男を睨み付けた。
誘われるように皆、前方——大きく開閉された窓へと顔を向ける。
窓辺には一人の男が立っており、無言のまま月を眺めていた。長身の男である。腰までの長い金髪が、月明かりに照され、きらきらと輝いていた。
皆に招集をかけたのは、この男である。少年たちの視線に気が付かないのか、青白く輝く月をじっと見上げ、微動だにしない。
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