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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 葬送楽団 ( No.8 )
- 日時: 2011/01/15 18:31
- 名前: まる (ID: F80.MhYN)
少女は醜い男の画をそっとなでた。
クレドリュー家次期当主の男、アラウンド・クレドリュー。当時、小さなこの村も、まだ活気ずいていた頃だった。今までクレドリュー家は、町長として代々務め、栄えてきた。
アラウンドの父が無くなった後、当然継ぐのはアラウンドだった。アラウンドは父の後を継ぎ、町長として務めることとなった。アラウンドの父は、人望が厚く、慈悲深く、市民のことを第一に考える誰からも愛される人であった。
しかし、アラウンドは違った。
物欲が強く、金の為には何でもするがめつい男だった。農民には税金の大幅な増税、働くことの出来なくなった老人たちは家族の反対に関係なく不必要と見なされ、村のそとへと捨てられる。村の外は何も無い荒野で、力のない老人たちに生きていく術は無かった。
それだけでは無い。
若く美しい女たちは次々と屋敷に運び込み、アラウンドの欲を満たす道具となり酷い屈辱を味わった。
男は朝も夜もろくな休憩も取らず丸一日働き続けた。身を粉にして働くしか、高い税を払う方法が無かったからだ。
赤ん坊や小さな子供達は満足な食事が取れず、免疫力低下による感染病や餓死者が多く出た。
序所に村には人の姿が減り、当時の半分にも満たない数となった。村の人口が減るにつれ、死んでいった者の分も税が加算され、働けど働けどいっこうに金にはならず、皆貧困に喘ぎ苦しんでいた。ろくな食事も睡眠も取れず、苦しみに耐えることしか人々は出来なかった。
人々のことなどお構いなしに、アラウンドは搾り取った金で遊び暮らし、人々とは比べものにならないほどの贅沢な暮らしを満喫していた。
皆、我慢の限界だった。これ以上苦しむのも死んでいく人をただ見送るのも。
ついに耐えかねた人々は、行動に出たのだ。
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