ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 剣を振るう者 -The Lost Time- ( No.3 )
- 日時: 2011/01/02 23:33
- 名前: 月詠 ◆hjAE94JkIU (ID: 81HzK4GC)
「ねぇ」
「あ?」
「どこまで歩くのさー!」
エルはがっくりと両手を下ろしながら歩く。
出発してから歩いた時間は、優に1時間を超えているだろう。
背中に等身大の剣を担いだエルには、そろそろ限界が近づいていた。
相変わらず辺りには木が生い茂っているばかりで、出口らしきものは全く見えない。
「もう少しだっつの」
「嘘だ! さっきからもう少し、もう少しって全然出れないじゃない」
エルは不服そうに口を尖らせながる。
しかし、頼りになるのは今のところこの鳥(自称オウム)しかいないため、
着いていく他に選択肢は無いのだ。
「まあまあ。もう少しだって。ところで、お前の名前は?」
鳥(自称オウム)にお前呼ばわりされ、少々気にさわるエルだったが、
案内してもらっている手前、名乗るのは礼儀だ。
「僕はエル。エルンスト=ハンス」
「ハンス……? どっかできいたことあるような……」
鳥(自称オウム)はくちばしをパクパクさせながら少し考えこみ、顔をあげた。
「気のせいだな! オレも最近記憶が曖昧な……て歳はきくなよ! オレ様はまだピチピチだ!
そう言えば、名乗っていなかったな。オレの名はチッテリウス=バルダ=ロスタだ。
まぁ、何だ、長いからな。チッテで良いぞ!」
威張る鳥を呆れたように見上げたエルは、物音を感じて足を止めた。
どうやら誰かの足音のようだが、人間か動物かはわからない。
「チッテ。何がいるかわかる?」
「(早速呼び捨てかよ……)オレは視力はすん……ごく良いが、聴力はあんまりなー。
でも、何も見えねーぞ?」
チッテがそう言う間にも、足音が近づいてくるのが、エルにははっきりと分かった。
自分に扱えるのかもわからないが、一応背中の剣に手をかけて警戒してみる。
じりじりとした緊張感がエルを襲い、全身に震えが走る。
足音は確実に大きくなり、すぐ近くまで来ているのを感じた。
「だ、誰だ! 隠れてないで出てこい!」
エルは震える声を必死の思いで張り上げた。
