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Re: 剣を振るう者 -The Lost Time- ( No.4 )
日時: 2011/01/24 22:25
名前: 月詠 ◆hjAE94JkIU (ID: 81HzK4GC)

背後からの足音を感じ、振り返ったその瞬間。
エルは目に見えない何かによって羽交い締めにされ、首にひんやりとした鉄の感触を感じた。

「その剣、何で抜かなかったの?」

目の見えない何か。いや、誰かがそう言って、首にあてたものを少し強く押し付けた。
声からして、エルを羽交い締めにしているのは、女の子のようだった。
エルには人も、首にある刃物も、見えていない。
エルはふと、“死ぬかもしれない”と思った。だが、不思議と恐怖を感じない。
“死ぬ”ということがあまりにも現実味離れしているように思えて、
自分はまだ夢から目覚めてないのではないかと疑う。
もし夢なら、何も怖くはない。エルは意を決して口を開いた。

「僕は戦わない。この剣を扱えるのかもわからないし。だって、何も覚えていないから」

「……何も覚えてない……ってどういうこと?」

「……さっき森の中で目が覚めてから、その前のことは全く覚えてない。
 ここがどこなのかもわからないし、名前以外、自分が何者なのかもわからない……」

_________何故初めてあった人に、こんな話をしているのだろう。
しかも相手は、自分を殺そうとしているというのに_________

エルは心のどこか奥のところでそう思いながら、話した。
背後に立つ誰かがぴくりと動き、首から冷たい感触が消え、エルは解放された。

「何か事情があるみたいだね」

今度はさっきの声とは違う、落ち着いた、低い男の声が聞こえた。
目の前の空間が一瞬ぶれたように見えて、その後に二人の人間が立っていた。

「んー、どっかで見たことあるような顔なんだよねー」

「話を聞こう」

一人はエルと同じ14、5才に見える少女で、顎に手を当て、首を傾げていた。
ウェーブのかかった金色の髪を腰まで伸ばし、左右でツインテールにしている。
明るいピンク色の瞳が印象的な少女だ。

もう一人の男は20代後半から30代前半という見た目だが、実際のところはっきりとはわからない。
瞳は吸い込まれそうに深く、落ち着いた緑色で、エルをじっと見つめていた。