ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 嘘つきルナティック ( No.4 )
- 日時: 2010/12/30 13:56
- 名前: 夜深 ◆4QOlS8qZ.. (ID: a6i4.RaK)
*第朔話「噓つきの憂鬱」*
私はいつでも嘘をつく。
ちっちゃなちっちゃな嘘。
私の家で飼ってる猫がテレビに出てたよー、とか
今日は調子悪いから早退します、とか
今日は塾があるので帰ります、とか
体育の長距離一番取った、とか。
このちっちゃな嘘のために、毎日毎日、また嘘を重ねる。
嘘をつくってことは見栄っ張りってことかな。
もっともっと、私を見てほしい、
そういう感情の表れ?
・・・違う。
そうじゃない。
見栄はあるけど、目立ちたがり屋じゃない。
私は今日も嘘をついた。
嘘で埋もれたこの身体。
もうしんどいよ。 疲れたよ。
ちっちゃな嘘を重ねていく度に、この胸が大きく揺れて、傷ついている。
原因をつくってるのは自分なのに。
ちっちゃな嘘は自分を守るためにつくもの。
だけど、結局は傷ついて、弱いまま。
この嘘をつく癖さえなおせれば、もっともっと、正直に自分らしく生きていけると思う。
思う、のに。
ベットの上で目を閉じる。
5限目にあった数学の先生の声がする。
「望月、また休むのか? ほんと、ここ最近調子が悪いんだな。
また保護者さんにも伝えなくっちゃなぁ」
うるさい。もうほっといて。
って、そう思った。
この言葉は先生の優しさそのものなのに。
澄んだ空気の部室で、今も天体の分厚い本を読んでいるであろう、池澤くんの声がする。
近所のおばさんの嫌味ったらしい声が響く。
お母さんの体育に対する熱心な褒め言葉が、胸に突き刺さる。
ほんのちっちゃい嘘でも、ついてしまったら恐ろしく罪悪感が積もる。
私は私を守るために嘘ついてんの。
みんなみんな、ほっといてよ。
私は弱い私が嫌で嘘ついてんの。
もっと強くなりたいけど、この虚言癖なおさなくちゃ無理だ。
強がりで本当は泣き虫。
見栄っ張りで弱い、ただの中学生。
大きな声をあげるとお母さんが心配するから、小さな声で泣いた。
泣くと怖くなってますます弱気になる。
泣くと鼻がつんとしてものすごく弱気になる。
泣くとすっきりするけど、
罪悪感は積もったまま。
どうしたら、
綺麗さっぱり罪悪感を掃除できるのかなぁ。