ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: からっぽMAGIC ( No.1 )
- 日時: 2011/01/02 01:33
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
六年前、ここ日本で災害が起きた。被害は少なかったようだが
決定的な問題が起こった。それは当時日本にいたすべての人々が例外なく
理から外れた異能、マギを手にした。
それ以来日本国民は世界中からの監視の元で生活してきた。
俺、籠野ユウも例外なく監視されていた。
「ユウさん、起きてください」
朝から部屋の中でじっと空を眺めていると階下から俺鋸とを呼ぶ女性の声
古い扉を開け階段を下りてすぐの部屋へと入っていく
「おはようございます。寮母さん」
そう言って俺は軽く頭を下げ、決められた席へと座る。
すると少し遅れて亜麻色の長い髪を後ろで束ねた見るからに優しそうな女性が
朝食を盆に乗せてキッチンから出てくる
「おはようございます。ユウさん」
彼女は三島サクヤ。俺が住む寮の寮母さんで俺より三歳年上の二十六歳
それ以外のことはよく知らない。俺の監視役ってぐらいだろう。
「今日も能力は使ってませんか?」
これも一応義務なので質疑応答はちゃんとしなければいけない。
だが、この質問の答えはいつも同じだノーだ。理由は一つ。
「使えませんし。無意味な能力ですから」
「そうですか。ならいいです」
こんなやりとりを毎朝繰り返してる。機械的なものだ。
俺が四年前の災害で手にした能力は空間を作る能力。
文字通り三次元の世界に三次元の場所をつくること。そう意味がない。
火を使うとか超人的な力を手にした人物は少なくない。そんな中俺は
凡人から凡人に書き換えられた。恐らく日本で唯一の一般人だ。
朝食を終え着替えを済ませた俺は再び一階の玄関へと向かう。
元来、無気力で無頓着な俺は今年で二十三になる。
髪は適度な長さ視力が悪いため眼鏡は常備。顔立ちは周りからは整ってる
と、言われるが鏡を見て自惚れする気はない。
毎日のごとくスーツを着て同じ時間帯に寮を出る生活。
今は朝の六時、まだ町は眠りについているから人は少ない俺はそれが嬉しい。
うるさいのは嫌いだ。一人でいるに越したことはない。
「じゃ、行ってきます」
俺は籠野ユウ。異能の力をもつ少年少女が通う学校の教師をしている。
彼女はいない。家族は父母と年の離れた妹が一人。
能力は空間を作り出す能力。D-メイカー。
好きなものは、なにもしない時間と串に刺さった団子。
嫌いなものは、昼間の喧騒と焼き魚。
俺は一般人だ。