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Re: からっぽMAGIC ( No.11 )
日時: 2011/01/06 23:12
名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)

翌日PM2000 太平洋上空

「——了解。作戦を開始する」

地上からは点ほどにしか見えない超高度の高さに天使のような巨大な翼を生やし
上空に浮いているアンフォーギブンと彼が横に突きだしたクレイモアの上に
バランスを崩さずに立っているシンクロシニティがいた

「ふふ、ゾクゾクするわ。さぁ宴を始めましょう」

シンクロシニティの手からオレンジ色の光が空高く打ち上げられる

それを合図に遙かし下に停泊していた空母から火が上がる

「邪魔だ邪魔だぁぁああ!」

アイデンティティは被弾するのを気にもかけず、手に持つナイフで次々に兵士達の
息の根を止めていく。彼の能力は発動中の死を回避する。人の究極の状態

「…………狂って、終わって」

ヴェロニカがその後をゆっくりと歩く。さらにその背後には巨大な怪物を模した影
彼女の能力は半径六十メートル以内にいる全ての人間より強い影を生み出す能力
その影は腕を振り回し次々に兵士を海へと落としていく

「申し訳ありません。あなた方に構っている時間はあまりないんですの」

デイドリームは着物の袖から柄と鍔しかない日本刀を抜く刀身となる部分には
真っ黒な火のようななにかが揺らめいている。その刀のようなものを振ると
急激に伸び周りの兵士達を次々と斬っていく。

「それではよい夢を…………」

デイドリームの刀から火が消えると同時に十数人の兵士達は次々と悲鳴を上げ
泡を吹きながら倒れていく。誰一人として血を流さずに形のないもの
精神や心を斬る刃が彼女の能力

たった三人の人間に手も足も出ず兵士達は次々に倒れていく
これが特殊進化型の力。一人一人が軍隊に値するほど強力な能力者


「よし、いくそ」
「あぁ、先生無茶は……いや、無茶をしよう。人がなにかを為すのに間違いがない
そんなことはない。間違いだらけだ。信念を貫くことに正義はない」

そう言って、空母の中に忍び込んだリョウコをユウは小突く

「御託はいいんだ。巻き込んどいて言うのもなんだが……多分これが終わったとき
俺たちは学校に戻れない。だから先に謝っておく」

リョウコは笑って

「私が無理を言って付いてきたんだ。最後まで付いていくよ
それに私を許容できる学校じゃなかった。ただそれだけさ。世界は広い。いくらでも
私が生きていく場所はある。そう教えてくれたのは先生だろう?
私は私が望むように生きる。学校なんて檻は私から願い下げだよ」