ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: からっぽMAGIC ( No.4 )
日時: 2011/01/03 01:17
名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)

俺は特例で教師になった。そのことの説明はまぁいいだろう。
大学には行っていないし正確には教員免許も持っていない。ほらいるだろ?
多額の医療費を請求する医師免許を持っていない天才医師とか
簡単に言えばそんな感じだ。
俺も教員免許を持っていない。だから厳密には教員ではなく事務員扱いだ。
特にほぼ無能の俺は肩身が狭かったりもする。だからなおのこと事務員扱いだ

そんな細かいことはいい。そんな俺が受け持つの高校三年生の一クラス
副担任はなし、クラス全員で八人。学校の問題児の行き着く終点、3ーD
手に負えない連中の面倒を押しつけられただけだ。給料はそこそこだが
決して多くない上に税やらで結構引かれる。ちなみに俺に転職する気力はない

「ホームルームを始める。欠席はなし。連絡事項は問題行動を起こすな
授業をサボるな。昼になるまで弁当に触れるな、以上ホームルーム終了」

わずか十秒足らずで俺は教室を去る。クラスの連中に関わらないに越したことはない
逃げるが勝ちと言ってもいいだろう。とにかく早足で俺は職員室へと戻り
時刻表を見てまた頭痛がする。一限目の授業は異能学。俺の科目だ。
問題は向かう教室、Dクラスだ

異能学なんて大層な名前だが、とりあえずは自身の異能を制御さえ出来れば
評点上、五は付く。ちなみに制度が変わった今、評定五は何人いても良い
Dクラスの連中は皆五が付いている。そう制御できているがために自由すぎる

それでは異能学とは何のためにあるかと言えば強いて言うなら連中を拘束する術だ
一分一秒でも連中に身動きを取らせなければ学校としてはかなりの利益になる
逆を言えば一秒でも自由にすれば損害になる。ということだ。

「今日の授業は瞑想のみ、以上。馬鹿をしたらお前たちの卒業は絶望的と思え」

実は俺の授業は結構責任重大だったりする。認識は損得の話の延長線程度でいい
そのため俺は五十分間、八人を教室に押し込めている。

「逃げようと思うな。言っておくが卒業できなければお前たちの立場は
囚人並になるぞ。それでもいいなら逃げてみろ」

脅迫理由としては十分だろ、さてこれさえ乗り切ればあとは早いものだ。
後は帰って寝て、またいつもの繰り返し。一般人の一般的な平凡な人生だ。
世界が突然変わってほしいなんて願わなかった俺だからこそ普通のままだった
今もそうだ、できればからっぽな能力なんていらないが。まぁ。このままでいい。