ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: からっぽMAGIC ( No.9 )
日時: 2011/01/06 00:38
名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)

同日の深夜、俺は都会の中を走っていた。かなり状況は緊迫している
その日の晩、寮に帰宅した俺を待っていたのは一本の電話
染代、御津を除くDクラスの者と生徒数十名が未だ帰宅していないというものだ
Dクラスの人間だけならまだしも、他のクラスの者までもが帰っていないのはおかしい

「染代、見つかったか?」
「いや、誰一人としていないな。これは間違いなくただ事じゃない」

俺は断ったがどうしてもと言われ染代にも協力してもらい探すも
顔を知るものは一人も居なかった

「これは奴らの仕業かな。先生?」
「わからない。が、だとしてもこれは多すぎる。全部で八十七名だ」
「確かに、だとしたら他の線を当たるしかない」

俺と染代だけがわかる会話。こうしてる間にも事態は間違いなく進んでいる
誘拐事件としては範囲が大きすぎる。唯一の共通点は染代、御津両名に比べ
他の者は異能が未発達な点だろうか。手掛かりが少なすぎるな

「お困りのようだね。我らが手を、貸してあげようか?」

この声忘れるはずもない。奴、インフィニットだ
今回は敵対心のようなものは感じられないが相変わらず近くに居るだけで寒気がする

「……なにか知っているのか?」
「先生!? 見るからに怪しいぞ?」

それは否定しない。俺の後ろに立つ男を信用する気はない。俺は奴の左手に意識を
集中し顔を見ないように訊ねると予想した通り答えはすぐ返ってきた

「人並み以上にはね。付いて来たまえ。ここは目立つ」

俺と染代は廃ビルの中に並んで立っていた。目の前には三人の男女
インフィニットと後二人は知らない名はアンフォーギヴンとシンクロシニティというらしい

「単刀直入に言うと、君の教え子たちを誘拐したのは、ほぼ間違いなく
異能持ちが味方する、とある軍だろう。その軍が所有する空母が現在太平洋にある
私たちが手を貸すのは君たちをそこへと送り込むまでの手助けだ」

この数時間でそれだけのことを手に入れるあたりアジトはふざけているが
この連中がただ者じゃないことだけは改めて気づかされる
だが、これで話は終わりじゃない

「それでアンタ達は見返りとしてなにが必要なんだ?」
「話が早くて助かる。まず一つは君たち”二人に”作戦を成功してもらうこと自体が
我々には有益となる
次に私と君たちが敵対関係じゃないというのを認識してもらえればこれも有益だ
最後に君たちに異能を使って生徒諸君を救出してほしい」