ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: コッペリアの柩+何が正しくて何が悪で+ ( No.3 )
日時: 2011/01/05 10:23
名前: 夜来香 ◆v7/lHHQpMI (ID: OeXJRIuY)



「くそっ、何だって俺がンな面倒な事を……」
と、至極面倒そうに呟く彼は水臈焔。彼も人形。

「それがお父様の願いよ」
と、腕時計に目をやっている彼女は薔薇赤。彼女も人形。


“お父様の願い”それは、道を誤った失敗作を正す事。息も絶え絶えに、ベッドで父様はそう呟いた。


「お父様お父様って……。そんなにお父様が大事かね、皆してさ」
と、溜息をつきながら右腕をある人形に抱えられている彼は黄綴宝。云わずとも彼は人形。

「当たり前です! 私達は唯一、お父様の最期の言葉を聴いてるです!」
彼女は緑聖胤。もう予想が付くだろうが、彼女も人形。


お父様の願いをかなえられるのは、今やわたしたちだけ。お父様の全てを知るわたしたちだけ。


  でも、わたしたちにだって知らない事はある。いや、知らなくてもよい事は───。


「さぁ、行くわよ」



周囲から服装が浮いているのは気にしない。好奇の目も気にしない。わたしたちはただ、お父様の為に───。