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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 不幸少年の日常+非常識 ( No.19 )
- 日時: 2011/01/10 09:36
- 名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)
「そして、変若水に頼り過ぎると、やがて己の身を滅ぼす。獣となった者が死ぬ道は、変若水だ」
最後の方は殆ど投げやりだった。面倒くさそうに、そして少しだけ辛そうに。
「どうせもうすぐ終わる。貴様に話す事ではなかったかも知れぬな───」
もうすぐ終わる? いつか、逢魔が話していた。
「まだ敵は多い。いつ終わるのか……」
みたいな事を。じゃあ、どちらかが嘘を? でも、どちらも嘘でない雰囲気だ。
「死へと還ることを許されぬ蝶が、死へと誘われる。だが、その死こそ幸福よ」
意味が解らない。不死身の女王が死ぬ。死こそ幸福。短い間だった。
でも、何故こんなに女王の事が心配なんだろう。
最初は嫌で、キレたり、大声で否定したり……。そんなものが懐かしく思える。
まだ、最近の事だったのに。
もしかしたら、心惹かれていたのかも知れない───。
「……姉さん、今夜話があるんだ。俺の部屋に来て」
その声で、いつもの眉根に皺を寄せた、怪訝そうな顔に戻っている。女王は全て知っているのだろうか。
これからの未来、これから俺がどうなるか、皆がどうなるか、自分がどうなるか───。
「馬鹿な話はよしてくれるな?」
今度はいつもの揶揄するような、不敵な笑顔に戻っている。
そして、その瞳の奥には恐らく全てが映っているのだろう。
「当たり前だよ姉さん。これは素晴らしい事だ、俺にとっても、姉さんにとっても……」
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