ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 不幸少年の日常+非常識 ( No.26 )
日時: 2011/01/10 13:40
名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)



「馬鹿なこと言うなよ!!」

と叫んだのは守導。そうは言っても救えないと思っているのか、複雑な顔だった。


「アンタがいたから俺らはここまで……!!」


ここまで強くなった。皆で約束したじゃねぇか……。強くなって女王を守るって……。
泣きそうな顔の逢魔。女王は、皆にとってここまで大切な存在だった。



「あの男の元で飼い慣らされるくらいなら、ここで死なせてくれ」


対して女王は、全てに吹っ切れたような爽やかな顔をしていた。

  女王には全ての結末が見えていて、それを受け入れて───。




「いいよ、僕が殺してあげる」


それが女王の望み? きっと違うと思う。だって、死にたいと言う奴らほど死んでない。


「善い子だ、緋雀」


でも、女王は怯えない。今まで見た事がない優しい笑顔で、心臓に突き立てられる不死族の武具を待っていた。



「勝手に殺されては困る。珍しい純血の不死族の女だ」


魔王のような、恐ろしく低い声が聞こえる。そして、そこに姿を現した男。

彼が、女王を嫁にすると言っている男だと、馬鹿な俺でも解った。



「帰る蝶よ。己が帰るべき場所をもう一度考え直せ」

「純血の不死族を産むのが貴様の最良の選択だ」と言う瞳で女王を見ている。


      


         「……付いて行かせていただきます」