ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

2年前と今と。 ( No.21 )
日時: 2011/06/11 13:59
名前: 神楽 妖 (ID: nqtZqZHy)

「……私の至福の時間に、それを言っては欲しくないですね。」

玄関に、利里の声が反響する。

部屋から聞こえる3人の声が、どこか別次元からのように感じる。
まるで利里と珠那さんの周りにだけ見えないバリアが張ってあるかのような。

「あの子たちのせいで利里ちゃんの言動が悪くなれば、作った私にも責任がかかってくるしね。……学校のコンピューター。ハッキングして『要注意』のデータ調べたら、利里ちゃんが一番に乗ってたからさ。」

「でしょうね。」

「私はさあ、自分の作品で不幸になる人がいると困るんだよねー。」

そういうと、彼女はため息をついた。

「私は学校なんか行かなくても、別に何の問題もありませんけど?」

少しイラッとした利里は例の口調で言ったのだが、逆に不思議そうな顔をされる。

「利里ちゃん、何言ってるの?あそこって進学校だからさあ、担任の先生とか校長が、教育委員会から責められそうで可哀想でしょ?」

……そっちか!

「とにかく、私の作品に傷をつける様な事はしないでね。外の損傷だけじゃなくて名誉にも。いざという時にはプログラムを停止するから。……じゃ、また今度点検に来るね。バイバーイ!」

珠那さんは、あっという間に手を振りながら出て行った。

Uターンをして部屋に戻ろうとするが、3人と会う気がしない。

「ちょっと体調悪いから今日は寝るね。」

利里はドア越しに早すぎる就寝を伝えた後、そのまま二階へ上がった。