ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 雨待ち人。 ( No.68 )
日時: 2011/01/18 18:53
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)


「まぁ……そう、ですね……」
「あはは。どーせ暮羽の事だから本当にどう思ってんのかは知らないけどね」


なら聞くなよ。
まぁ、そんな真白さんは放置してふと空を見上げてみた。茜色……つまり、夕方になっている。
そんな長い時間真白さんと話していたのか、俺。


「…………夕さんの所に戻らなくて良いんですか?」
「え? あぁ、今日は葉月と夕と三人で夜から飲みまくるから夜までに体力溜めないといけないからさ」


飲みまくる……あぁ、そう言えばこの人もう二十三歳なんだっけ。随分若い顔してるけど。
そう言えば夕さんは小さい頃かなり美形だった(気がする)けど今はどうなんだろう。
と、そんな疑問はさしおいてふと復讐について考えてみた。


犯人こと芹沢悠香は物凄く憎んでいる。晴香と双子だったのと、そこそこ仲が良かったのもあるせい、だと思う。
今、芹沢悠香が俺の目の前に突っ立っていたら、


「血飛沫を上げるまで殺す……」


だろうな。
死に方が死に方だし。憎んでも憎みきれない。
焼死体やバラバラな死体は殺した人が、その人に恨みがあったパターンが多いらしい。いや、どうでも良いけど。


「え? ちょっと暮羽何故いきなりそんな物騒な台詞吐いてるの?」
「すいません。独り言です」
「その台詞夕に聞かせたら何て言うだろうね?」


知るか、自分で考えろ。
絶対に言ってはいけない言葉を心の中で呟きつつ曖昧に返事をしておいた。
ふと時計を見れば時間は五時半。そろそろ帰ろうかと俺はベンチから立ち上がる。
すると真白さんも伸びをしながら立ち上がった。


「……つまんないなぁ、もう帰るの?」
「雪上先輩と居ると自分を見失いそうなんで」
「っははは、言うなこいつ。まぁ、また大学で会おっか」


真白さんはそう言いながら俺の頭をこつんと叩いてから走り去った。……よし、明日大学サボろう。
そう密かな決心をして俺はマンションへの帰路に着いた。