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Re: ツァラトゥストラはかく語りき-アリス達の運命- ( No.9 )
日時: 2011/01/10 09:56
名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)

吸血鬼編  序章「棘の絲、逃れられぬ愛の鎖」


あいつは報われない女。初めて知る事が出来た愛を裏切られ、愛を忘れた女。

俺は何100年も前からあいつを恋慕していた。嘘偽りない愛情で。でも、あいつは振り向かない。

愚かしい人間の男に現を抜かして、やがて身も心もボロボロになって戻ってきた愚かな女。


その時俺は、あいつを抱き締めて言ってやった。これ以上ない優しい声で

  「恨みがあるのなら復讐すればいい。必ずや報われる結果になる」


だが、こちらの準備より早く、あいつを捨てた馬鹿な男らが先に俺らを滅ぼしに来た。

残った吸血鬼は、俺とあいつともう一人の男。その男は、吸血鬼の中でも1、2を争う名家。


それ以来あいつは、男と手を組んで人間に復讐する事を考えた。俺が授けた知恵で。

そんな愚かな行動をとるあいつを、笑えたらいい。馬鹿な女だと笑う事が出来ればいい。


でも、それができない俺は狂うほどにあいつを愛してる。

あいつは男と手を組むため、自分の身体を男に捧げた。傷一つない、白くて細い、穢れを知らぬ肌を。

     あの男なんぞに与えた。自分の純潔を。


喩え他の男に穢された身体でもいい。もっと穢して、壊して───。



        やがて殺してしまいたい