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Re: ツァラトゥストラはかく語りき-アリス達の運命- ( No.13 )
日時: 2011/01/10 13:53
名前: 魑魅魍魎 ◆UTmvEGhzaE (ID: OeXJRIuY)

Ⅲ  「緑のアリス」


「エルザお兄様ったら……」

誰もがエルザの死を愚かだと言った。肉親までもが彼を嘲笑う。

「キラー家の面汚し、だね」

と、容赦のない棘だらけの言葉がクロウの口から発せられる。


「次はわたしね……」

席を外すロザリンド。アスターを腕に抱いて、少し悲しげな表情を浮かべている。


「行こう。大丈夫、アスターができる限りロザリンドを守るから」

アスターだって、お姉ちゃんの仇を討つ。でも……。勝てる自信は勿論ない。
力の差がありすぎる。アスターにだってわかるもん……。


           ・
           ・
           ・

「お兄様たちの仇!!」

ロザリンドは科学では説明不能の魔法を使って戦う。相手になったのはリリアーヌ。
アスターとオウガでは力の差は歴然。だが、アスターは己のできる限りの力で戦っている。


「ああぁぁぁぁ!!!!」

アスターは薔薇蔓でオウガの動きを封じるも、オウガの刀はその薔薇蔓を切り裂く。

「っ、くぅっ!!!」

アスターが己の力をすべて出したところで、ロザリンドが倒れた。


「えっ……?」

アスターはオウガには目もくれずロザリンドに駆け寄る。もう息はないようで、指輪は消えていた。


「……主の力を使いすぎたのよ」

リリアーヌ……。アスターを造ってくれたママ。アスターたちを見捨てるんだね、ママ。


   「ママ、大好きだよ……」


そして、ロザリンドとアスターも帰ってこない。