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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.132 )
- 日時: 2011/10/03 00:29
- 名前: rara (ID: 9QYDPo7T)
*黒薔薇の城のアリス 10
気持ちの良い朝だった。
雲がひとつもなく、日の光がカーテン越しに差し込んでくる。
まるで、昨日の出来事が幻かのように—————。
「黒姫様、おはようございます。既に長い行列が……」
「おはよう。今行くわ」
これが毎朝続いている。
私はうんざりしながらも、部屋を出る。
玉座の間の前には、物凄い行列が続いていた。
行列の真ん中を通って、玉座の間に入っていく。
「何の用かしら?」
いつものようにそう聞くと、
男たちは口をそろえて結婚の申し込みと言った。
そして、互いに我が我がと押し退けている。
「静かにしなさい!」
私は五月蝿いのが嫌いだ。
おまけに、好みの男もいない。
いたとしても、私の思い人はレオだから。
「今日は気分が悪い。出て行きなさい」
そう言ったときだ。
「待ってよ! アリスさん……!!」
声が聞こえた方を振り向くと、10歳くらいの女の子が立っていた。
「……何の用かしら?」
私が不機嫌そうにそう答えると、少女は上目使いで衝撃的なことを口にした。
「見ちゃったんです。アリスさんがユリス様を殺したところを……」
「……それで?」
アリスはあえて冷静に答える。
「だから、貴女は女王に相応しくない人殺しです!」
その一言でアリスの怒りは頂点に達した。
そしてゆっくりと少女に近づく。
「貴女も死にたいのね?」
アリスはそう呟いた。
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