PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.168 )
- 日時: 2011/10/03 18:26
- 名前: rara (ID: 9QYDPo7T)
*黒薔薇の城のアリス 12 Final
レオが入ってきた途端、少女は部屋を出た。
二人だけになった玉座の間。
時計の音がレオの心を震わせる。
「レオ、どうしたの。早く殺して……?」
「ア、アリス……」
レオはアリスを殺そうとするが、体が動かない。
その様子を見たアリスは静かにレオの手に自分の手を重ねた。
「もういいわ」
「え……?」
アリスは涙を流し、レオに言った。
ふと、昔の事が蘇る—————。
女王に君臨した時、レオは私の召使になった。
そして誓ったのだ。
“僕は一生アリスに仕えます”
私はこの日まですっと信頼してきた。
女王と召使。
だが、今日で私は人生の幕を閉じる。
レオに会えて嬉しかった。
でも、
私の罪は決して許されない————。
アリスは最後にレオに言った。
「さようなら……レオ、大好きよ……」
これが罪を犯した、殺戮女王の最後の言葉。
アリスは固く握っていたナイフを自分の胸に突き刺した。
「アリス!」
レオが呼びかけてもアリスは答えない。
今までの罪と、心の傷は癒えない。
アリスが握っていたナイフを抜き取り、レオは自分の胸に向ける。
「アリス、僕も大好きだった……」
鋭いナイフがレオの胸を貫く————。
レオはアリスの隣に倒れ息絶えた。
こうして殺戮女王に仕えた召使の人生も幕を閉じた。
自分の我が侭で何千人を殺した黒薔薇の城の女王・アリス。
そして、アリスの殺人命令に従った召使・レオ。
この二人の愛は地獄で永遠に結ばれるだろう————。
———黒薔薇の城のアリス END———
PR