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Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.23 )
日時: 2011/09/29 20:00
名前: rara (ID: 9QYDPo7T)

*黒薔薇の城のアリス 2 




 私とユリスは貧しいが、幸せな家庭に生まれた。
 両親からも愛情を沢山もらい、本当に幸せだった日々。


 しかしそれは白薔薇の国によって壊された————。


 白薔薇の国の城下町に住んでいた私たちは、城から莫大な税金を払わされた。
 もう、食料も買えず金も尽きてしまったのだ。
 その為に、ユリスが養子に出されたのだった。

「アリスはお姉ちゃんだから、我慢してね……」

 そう言って、両親は6歳の幼いユリスを出したのだった。


 凄く悔しかった。
 私はいつの間にか、王国を恨むようになっていた。

「どうしてユリスが……あいつ等のせいで家族が……!!」



 そして、私は城へ乗り込んだ。
 大理石にレッドカーペットが敷かれた階段を駆け上がる。
 扉の前にいた兵士達を押しのけついに玉座の間へ。

「国王はお前か、ユリスを返せ……!」

 この頃の私は怖いもの知らずだった。

「君は誰だね、この小娘め……」

「ユリスの姉、アリスだ!」

「そうか……だが、残念なことに返すことはできない」

 私は怒りの頂点に達した。
 そしてゆっくりと国王に近づき、国王の頭上に刃を向ける……

「ぶ、無礼者……め!!」

「ユリスを、妹を返せ!」

 叫んだと同時に、ナイフを振り下ろした。
 玉座の間は、一瞬にして血の海と化した。

 しばらくして、数人の兵士達が玉座の間に入ってきて私を取り押さえた。

「はなせっ……ユリスを———————」



 気がついたときには、私は牢屋にいた。
 それも当然の事。
 国を治める国王を殺してしまったのだから。


 

 私は“罪人”、そしてのちに“黒姫”と呼ばれることになる。




 それから二年の月日がゆっくりと過ぎていった————。