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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.28 )
- 日時: 2011/09/29 20:20
- 名前: rara (ID: 9QYDPo7T)
*黒薔薇の城のアリス 3
あれから二年の月日が流れ、私は解放された。
でもユリスはまだ戻って来ない。
私は10歳、ユリスは8歳。
ュリスは、幸せに暮らしてるだろうか。
そう思うと何だか胸が苦しかった。
私が捕まって、一年経った時だった。
一人の兵士が柵ごしに話しかけてきた。
「残念な知らせだ。君の両親、飢えて死んだらしい……」
「ち、違う……そんなの嘘よ!」
私はその言葉を聞いたとき、嘘だと思った。
いや、嘘だと信じたかった。
自分に悪いことが起きると、誰だってそう思うだろう。
嘘だと言ってほしい。
そんな思いが、頭の中でメリーゴーランドのようにグルグルと回っていた。
しかし、兵士はその思いを裏切った。
「嘘じゃない。君の家は売りに出されたんだから……」
その言葉を残して、兵士は去っていった。
もう4人では暮らせない。
幸せだったあの頃の思い出が、たった今、儚く崩れ去っていった。
それから私はもの凄く泣いた。
泣いて泣いて、それでも涙が止まらなくて。
「もう疲れた……ああ、夜空が見たいな」
だけど、今の私には叶わない夢。
それから解放されて、家元のない私は黒薔薇の国に売られたのだった。
そして今に至る。
もう、あんな過去はとっくの昔に捨てた。
必要ないし、思い出したくもない。
「所詮、私は悲しみの中で生きていくのね」
そう、これからもずっと。
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