ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.60 )
日時: 2011/09/29 21:07
名前: rara (ID: 9QYDPo7T)

*黒薔薇の国のアリス 6 




あれから1ヶ月が経った。

 何故、ユリスは生きていたのだろう。
 確かに、城は燃えていたはずなのに……

 そう思っていたとき、レオが入ってきた。

「失礼します。黒姫様、ローズティーを入れました」

「有難う。しかし……」

 私はローズティーが入ったカップをサイドテーブルに置いた。

「しかし、何故ユリスは死ななかったのかしら……?」

「すみません、黒姫様。城を燃やしたはずなのですが」

 レオは私の前に跪く。
 私はしばらく絵画を見つめてから呟いた。

「いいわ。次は私自身がユリスを殺すから」

 私はカップに入っていたローズティーを一気に飲み干した。
 そして不敵な笑みを浮かべる。
 レオは一礼してから部屋を出て行った。


「燃やして死なないならナイフで刺しましょうか」

私は窓辺からナイフを持ってきて飾ってあった赤い薔薇を切り裂いた。
その薔薇の花びらは床にひらひらと舞っていった。

「我が妹もこの薔薇のように紅く染め上げてあげましょう……」

 銀に光るナイフを持ち、満月を見上げていた。


 ユリス暗殺計画を立てた私は、お気に入りの黒いドレスをナイフで切り裂いた。
 私はガラスの靴を履き、兵士達を率いて真夜中の白薔薇の国に向かった。

「もうすぐで女王は私一人になる」


 私たちは白薔薇の国を目指して歩き出した。