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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.82 )
- 日時: 2011/10/03 00:02
- 名前: rara ◆yCpsh5NIoA (ID: 9QYDPo7T)
*黒薔薇の城のアリス 7
夜の草原は本当に静かなものだ。
優しい風が吹き抜け、聞こえるのは風の音だけ。
私はふと夜空を見上げた。
今日はユリスの誕生日。
だけどもう私には関係ない……
私たちは再び歩き出した。
—————
———
白薔薇の国に到着した。
前ほどではないが、立派な城が建っている。
私たちが幼かった頃に集めた莫大な税金で立派な城を建てたと思われる。
連れの兵士達は外で守ってもらうことにして、中に入っていく。
私は一人で階段を上がっていく……
装飾もそんなにない殺風景なベッドルームに入った。
月の光で照らされたバルコニーでユリスは夜空を見上げている。
「こんばんは、ユリスさん」
「お姉様、どうして……?」
ユリスは驚いた顔で私を見た。
「どうしてって、あなたの誕生日祝いよ。最高のプレゼントを持ってきたわ」
そう言って、私はユリスの後ろに回り込む。
「お姉様……?」
「ねえ、死んでくれない? それとも……」
私は銀に光るナイフをユリスに見せつける。
それと同時に、ユリスの顔が微妙に歪んだ。
「そ、それとも?」
「……殺されたい?」
一瞬、時が止まった。
生暖かい風がレースのカーテンを靡かせる。
私はユリスの首筋に冷たいナイフを当てる。
「嫌……やめて……」
ユリスの最高の誕生日、たっぷりと祝ってあげるわ。
怯える妹の耳元でそっと囁いた。
これがユリスへの最初で最後の誕生日プレゼント————。
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