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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.9 )
- 日時: 2011/09/29 19:42
- 名前: rara (ID: 9QYDPo7T)
*黒薔薇の城のアリス 1
私は黒薔薇の国の姫君。
結婚目当てで城に集う男たちに呆れている。
今日も城に集う民衆達。
馬鹿な奴らだと、心の中でふと思う。
そんなときだった。
「黒姫様、お客様が姫様に会いたいと……」
召使のレオが、静かに入ってきた。
「……いいわ。通しなさい」
こんな会話は毎日のこと。
つまらないけど男たちのためだ。
「アリス様、ご機嫌麗しゅう……」
“アリス様”と呼ぶのは民衆達だけ。
あの事実を知っているのは城の者だけだから。
「今日は何の用で……?」
「結婚の申し込みを……」
顔は悪くない男だ。
少しだけ、質問してみることにする。
「ふぅん……で、職業は何かしら?」
「ええと、隣の国の戦士です」
隣の国とは白薔薇の国の事だ。
白薔薇の国の頂点に君臨しているのは……
私の実の妹、ユリスだ———。
「もういいわ下がりなさい。レオ、今日は気分が悪いわ。帰して」
「かしこまりました。アリス様……」
王の間に誰もいなくなると私は窓辺に飾ってあった薔薇を切り裂いた。
私の中で憎しみと怒りが蘇ってきた—————。
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