ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黒薔薇の城のアリス ( No.91 )
日時: 2011/10/03 00:10
名前: rara (ID: 9QYDPo7T)

*黒薔薇の城のアリス 8 




 レオは眠れずにいた。
 ベッドの上で満月を見上げている。
 時計は既に真夜中の12時を指していた。

「ユリス様、大丈夫でしょうか……」

 わが国の敵だと分かっているのにユリスの心配をしてしまう。
 まあ、無理もないことだろう。

 

 夜空には星が輝いている。
 レオは4年前のことを思い出した……


 ——————


 ————


 両親を亡くした一人の少女がこの国に売られてきた。
 名前はアリス—————。
 僕と同い年で、大人しいが無愛想な少女だった。
 アリスを連れてきた男の人は僕に言った。

「この子と仲良くしてあげなさい」

 僕は黙って頷いた。

「初めまして、僕はレオ。よろしくね!」

「初めまして、アリスです……よろしく……」

 アリスはお辞儀をして僕の隣に並んだ。
 そして、散歩をすることにした。

「この国はね、女性が少ないからアリスが来て嬉しいよ」

「本当に?」

「うん、本当だよ!!」

「ありがとう!」

 無愛想だと思っていたアリスは初めて、笑顔を見せた。

「ねえ、ずっと私を信じてくれる?」

「もちろん信じるし、裏切らないさ」

 アリスが小指を出してきた。
 その指に僕の指を絡め、“指きりげんまん”をする。

「約束だよ……?」




 ——————


 ———





 だから僕はアリスを裏切ったことなんかない。
 アリスの命令は必ず守る。
 そんな事ダメだと思っているけど、アリスを傷つけたくなかった。
 そのために、何人もの犠牲者を出してきたのだ。



 僕も所詮、殺人者—————。