ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 籠の中のアリス ( No.3 )
日時: 2011/01/11 15:56
名前: 白螺旋 ◆gyKWDbomo6 (ID: e.JI7EiC)

02



「早苗、私いつから寝てた?」


 ドアにもたれかかっている(一応待ってくれているらしい)早苗を見やりながら、私は訊いた。


「んー? えっとー、確か数学の時だったから……
5時限目くらいかな?」


 一瞬だけひやりとした。まさか2時間も寝るはずがない。


「…………本当は?」

「……終礼が始まる前から」


 こいつめ。
 私は準備の出来た鞄を肩にかけ、ちょっとだけ早苗を睨む。


「有紗、なんか病んでたの?」

「何が?」


 唐突に聞いてくるものだから、思わず目を見開ける。
 高校2年生にして幼げで純粋そうな声を持つ早苗だけど、言うことはそうじゃなかったりする。 

 
「だって、有紗が教室で寝るとかホントに見たことなかったもん。
なんか悩み事?」


 ……少し前言撤回。
 純粋に心配をしてくれることがあったりする。


「んー。別にそうじゃないけど、なんかものすごく眠くて。
てか、寝たっていってもホームルームの時だけでしょ?」


 何か、夢を見た気がする。
 どんな内容かは覚えていないけれど…… あんな短い間で、夢など見れるものなのだろうか。


「——あ、坂上!」


 不意に後ろの方から、野太い声で自分の名を呼ばれた。
 今日は呼ばれることが多いな、なんて思いながら振り向く。