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Re: となりの駄菓子屋さん(霊的) ( No.11 )
日時: 2011/01/13 17:03
名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
参照: 第二章 霊感

 そういうと煙草盆の炭火に雁首を近づけて火をつけた。そしてゆっくりと吸い、上に向かって吐き出す。
 煙が上に向かってゆらゆらと舞い上がる。昨日と変わらない鼻をくすぐる匂い……。

「この煙はとてもいい匂いでしょう……煙草が嫌いな方もこの煙管の匂いなら、と思われる方もいらっしゃると思います。あなたは煙草の煙、好きですか?」

 猫又さんは、視線を下に落として尋ねた。

「大嫌いです。でも、この煙管の匂いなら好きになれますね」

 私は笑顔でいうと、猫又さんも笑顔を返した。
 なんかいい人っぽいな……でも、気味悪いのは変わらないかも……。

「僕も現代の煙草は嫌ですね……下品で仕方ありません」

 また上に向かってゆっくりと吐く。一応マナーは守ってくれているみたいで、煙が私達間を充満することはなかった。
 おっとりと煙を見つめ、匂いを堪能する……おっと、こんなことをしている場合じゃない。長居は無用だ。
遅くなってしまいました、それでは始めます。

「あ、すいません。急に話を途切れさせてしまって」

「いえいえ、何も問題はありませんよ。いつごろここにお引っ越しなされたんですか?」

 私は手帳にあらかじめ書き記してある質問事項を読んだ。

「昨日ですかね。お昼ぐらいにこの三毛市についたんだと思いますよ。それでそのまま荷ほどきをしていたんです」

 なるほどね。
 猫又さんの応答を手帳に書き写していく。

「なぜ、この三毛市に駄菓子屋を開業しようと思ったのでしょうか? もっと人口が多いところに行けば子供もたくさん来るでしょうに」

「とても自然が身近にありのどかで……こんないい所はありませんよ。それにここが空き家だったっていうのも要因ですかね」

 猫又さんは煙管を指先で器用に回しながら、湯のみに手を伸ばした。