ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——となりの駄菓子屋さん—— ( No.25 )
日時: 2011/01/15 13:08
名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
参照: 第四章 ネタは突然に

 あの記事を提出した後、どうして霊感があるのに「自身にも知らない心の奥底に眠ってる力があるのかも!」なんていう嘘をついたのか——こってり怒られちゃった……。
 言うことでもないし、そんなこと言ったら部長のことだから信じてもらえないだろうし……でも、部長はそういうの結構好きらしくて心霊現象のテレビ番組とかよく見るって。
 私が記事を通して書いたあの告白は学校中に広がった。
 連日、自分に霊がついてるとかついていないとか、そんな話ばかり相談してくる人たちが多いから目が疲れる……。
 うちの新聞部の売上げは過去最高になり、私に霊感があるということはありを蹴散らすみたいにあっという間に広がった。
 これもそれも全て猫又店長の所為というかおかげというか……。
 でも、ネタ探しに全然苦労しなくなったのは幸いかもしれない。



 今、店に響いているのは急須から注がれているお茶の音だけ。
 そしてそれをやっているのは私。なんでここの店主がお茶を出さなくて代わりに自分でやっているのか不思議でならない。
 店長はソファに座り背中を曲げ、一生懸命に足の爪を切っている。
 私は二つの緑と青の湯のみをテーブルに置きながら言った。
「店長、さっきの話聞いてた?」
「いや、全然」
 さらっと答えるんじゃない。
「店長、人の話はきちんと聞くようにしましょう」
「僕は今爪を切っているのに忙しい。後で説明してくれっと……終わったよ。さぁ話してくれ」
 店長はそう言うと器用に畳に落ちている自分の爪を拾う。
 なんでこんなにマイペースなんだろう……。
 私は小さくため息をつくと、一呼吸おいて話しだす。
「じゃぁ、今度はしっかりと話を聞いてくださいね」
 そう言って、私は手帳に書きとめた加奈子ちゃんとの会話を話した。
 今回の記事のテーマはこれで決まりね……。