ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——となりの駄菓子屋さん—— ( No.35 )
日時: 2011/01/15 22:40
名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

 そして、現場の一番奥の窓へ。
 それに近づいて行くたびに、異質なものは消えない……。
 汗がゆっくりと額ににじみでる。その汗はまとわりつくようだ。
 少し寒いのか……体が小刻みに震える。寒くはないはず。それじゃぁなぜ?
 外ではサッカー部がゴールを次々に決めていく。中庭の方では園芸部の実演が行われているのが目の隅に映した。
 私はカーテンを掴む。
 何だろう、この感じ。この教室に入って来てから一連の全ての動作が誰かに見られているような気がしてならない。

 私は心を紛らわすために、必死に汗を手でふきとる。
 このカーテンを開けた瞬間、陰霊が出てくるとか——そんな展開あるわけないよね!
 ぎゅっと目をつぶる。男子がここにいたら完全に冷やかされている所だ。
 私はえいっ、という掛け声のもと一気にカーテンを開いた。



「それで、何か驚くようなものがあったのかい?」
 店長がズズズとお茶をすする。そしてソファに寝転がり、ひじをついている。
「……何もなかったですけど」
 だろうね、という簡単な言葉を残しテーブルに置いてある店の商品の「いかせんべい」に手を伸ばした。
 ……沈黙が流れる。
「あの……それって商品ですよね?」
 そうだよ、と店長がいかせんべいを口にくわえながら言う。
「いいんですか、いくら店長だからって店のものに手をつけて」

「これは、もう賞味期限切れ。食べれないけどもったいないから食べてるの」
 店長はそう言うと、いかせんべいの袋に手をつっこんだ。
 なんだろう。今、物凄くそのいかせんべいを足で踏みつぶしてぐちゃぐちゃにしたい。
「で、店長話聞いてました?」
「聞いてたよ」
「どう思いますか、この事件!」
 私はテーブルに身を乗り出して店長に聞く。

 店長は、眉間にしわを寄せ唸るように考え込む。
「どうだろうねぇ〜……」
「それじゃぁ、陰霊か陽霊かだけでもわかりますか!?」
「このいかせんべい、おいしいねー!」
 店長は私の返答を無視して、いかせんべいに食べるのに必死だ。次から次へといかせんべいを口の中に押し込む。