ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 堕ちる彼女の見た世界〜題名変更しました〜 ( No.105 )
- 日時: 2011/04/04 14:04
- 名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: やっぱりキャラ視点に戻します。
▽
家の少し手前。
そこで突然、宗弥が立ち止まった。
「どうした宗弥?」
尋ねても何も言おうとしない。
ちょん、と彼女のカールした毛先に触れてみる。
『ビュッ』「…何? 鬼良」「い、いや何でも無い」
突如彼女の腕は早技のようにすっと胸ポケットに伸びて、そのまま俺の指を切断し兼ねない感じだった。
「鬼良。あれ何だと思う?」
彼女が先程まで黙って見ていたもの。
「…………………何っだありゃ…」
俺らの家の玄関の前に、1人ちょこんと座っている少女がいた。
——可愛い!!
——天使だ、あれこそ真の天使と呼べるものだ!!
「な、なぁそこの可愛こちゃん! 何でこんなとこにいんの?」
とりあえずまずは普通に話し掛けるとしよう。
大声で“キャー!!”なんて叫んで逃げられて、挙句の果てに警察に訴えられたら元も子もない。
そして後ろの人の視線がすっごく痛いけど多分問題無い!!
「え…? あ、あのぼく——ああっ!!? すすす、すみません!!家を間違えてしまったみたいで…!!」
ああ可愛いー。もう超可愛すぎる、食べちゃいたい。
という本心はかくして、と。
「あはは、天然っ子だねー、可愛いなぁ。 でもそんなに俺の家と君の家が同じに見えるんなら、もう君此処に住んじゃったらどうかなー」
後ろの視線が更に痛くなったけど、気にしない!!
もう俺襲っちゃいたいよこの子のこと。
小学生くらいかな? いや、別になんでも良いんだ、年齢なんて(多少は)関係無い!!
「気持ちは嬉しいんですけどね…。ぼく、変人なので」
——ん?
——“ぼく”?
「女装癖の、男子です、ぼく。 ちなみに高校生です」
——は
「はいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!?」
▽
この世界の時計なんかアテにならない。
時間や温度は、何故かランダムに訪れるから、いつ夜がきていつ冬がくるのか解らない。
こいつの部屋はきっとそれを予想して、いつでも準備万全、という感じを装っているのだと思う。
「汚い部屋だ」
ストーブは床にどすんと倒されており、テーブルは足が折れ、ソファもクッションがはみ出し、箪笥(たんす)は一体何を収納したいのか、というかこいつの箪笥の使い方はちょっと間違っているのではないかと思える程ぐちゃぐちゃに色んなものが仕舞われている。
「フィー、何ぼーっと突っ立ってんだよ。 ほら、そこにソファがあるから座れよ」
「あ……、あぁ…。ありがとう…」
とは言ったものの。
もう、ソファとは言えないものだと思う、これ。